食道粘膜下腫瘍 :トップ    
監修: 木下芳一 島根大学医学部附属病院
岡田裕之 岡山大学病院 光学医療診療部

概要

疾患のポイント:
  1. 食道粘膜下腫瘍とは、文字通り食道粘膜下に認める腫瘍である。
  1. 食道で最も多いSMTは平滑筋腫であり、GISTや平滑筋肉腫などの悪性病変はまれであり、サイズも平滑筋腫に比べ大である。 エビデンス 
 
診断: >詳細情報 
  1. 食道内視鏡検査で正常食道粘膜に被われた隆起病変を認めれば多くの場合食道SMTと診断できる。
  1. SMTの原因診断の評価には食道内視鏡検査、胸部MRI検査、胸部CT検査、内視鏡超音波(EUS)、組織生検目的にはEUS-FNAB(内視鏡超音波下穿刺吸引生検)が有用である。
  1. 原因疾患としては平滑筋腫(<図表><図表>)、脂肪腫(<図表>)、顆粒細胞腫(<図表><図表>)、GIST、平滑筋肉腫、悪性リンパ腫、血管腫、嚢胞(<図表>)などがある。また、食道外病変として縦隔腫瘍による食道の壁外圧迫、粘膜下腫瘍様の食道癌などがある。GISTの診断には免疫染色が不可欠である。 エビデンス 
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 多くは良性で無症状であり、治療の対象とならないが、下記の場合は治療適応となる。
  1. 嚥下困難、胸痛、悪心、嘔吐などの増大した腫瘍による症状がある場合
  1. 腫瘍径が5cmを超える場合
  1. 腫瘍表面にびらん、潰瘍があり出血のリスクがある場合
  1. 組織結果からGISTや悪性疾患が示唆された場合
  1. 腫瘍径2~5cmで有症状あるいは悪性疾患が疑われる場合
 
治療(GISTを含む粘膜下腫瘍の治療指針):アルゴリズム >詳細情報 
  1. 無症状の場合は経過観察で可であるが、腫瘍増大による通過障害を起こしたり、悪性リンパ腫やGISTなど悪性腫瘍が疑われる場合には手術が必要となる。 エビデンス  なお、切除不能のGIST場合は、内科治療ではイマチニブである。 エビデンス 
  1. 治療適応病変において、病変が粘膜筋板までのものは内視鏡的切除(EMR)、粘膜下層までのものはEMRあるいは外科切除、固有筋層由来の病変は外科切除の適応となる。
  1. 治療適応とならない例に対しての場合初回は6カ月あるいは1年ごとに内視鏡検査を行い、サイズ増大、形態変化を認めた場合はEUS、CT、MRIなども施行する。

専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. EUS、EUS-FNABを施行する場合、内視鏡治療、外科治療を行う場合には専門医に紹介をする。
 
臨床のポイント:
  1. 食道粘膜下腫瘍のなかで最も多いものは良性の平滑筋腫である。
  1. 質的診断のため超音波内視鏡検査や超音波内視鏡下の穿刺吸引生検が必要なことがある。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 食道SMTかどうかの診断(上皮性腫瘍との鑑別、食道壁外病変との鑑別)目的で内視鏡検査、CTを行う。
  1. 粘膜下腫瘍の質的診断目的でEUSやEUS-FNABを行う。
〇 原則1)の検査を行い、必要に合わせて2)や3)の検査を追加する。
1)
食道内視鏡検査
2)
CT検査
3)
超音波内視鏡検査
4)
EUS-FNAB

GISTの薬物療法例
〇 副作用に注意しつつ以下の治療を行う。
1)
グリベック錠[100mg] 4錠 分1 食後 [適用内/用量内/㊜KITCD117)陽性消化管間質腫瘍](編集部注:想定する適用病名「KITCD117陽性消化管間質腫瘍」/2015年11月)
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薬理情報 抗癌薬・抗癌薬関連薬 >分子標的薬(Bcr-Abl,PDGFR,c-kit阻害薬)
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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

GISTを含む粘膜下腫瘍の治療指針
粘膜筋板由来平滑筋腫
固有筋層由来平滑筋腫
脂肪腫
顆粒細胞腫
顆粒細胞腫
嚢胞
著者校正/監修レビュー済
2016/08/19