今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 岡田裕之 姫路赤十字病院

監修: 木下芳一 兵庫県立はりま姫路総合医療センター

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『GIST診療ガイドライン第4版』に基づいてレビューを行い、治療アルゴリズムを更新した。
  1. 鑑別疾患としてMALTリンパ腫について画像を用いて解説した。

概要・推奨   

  1. 食道SMTで最も多いのは平滑筋腫であり、GISTはまれである。
  1. GISTの診断には免疫染色が不可欠である(推奨度1)
  1. 切除可能GISTの治療の第1選択は外科的完全切除である(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 食道は粘膜層、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、外膜からなり、粘膜以外の層からできる腫瘍を食道粘膜下腫瘍(SMT)という。
  1. 多くは無症状であり、食道造影検査や内視鏡検査で偶然みつかることが多い。
  1. ほとんどが良性腫瘍であり、頻度の多いものは平滑筋腫や血管腫である。消化管間葉系腫瘍(gastrointestinal stromal tumor、GIST)はまれである。
  1. 無症状の場合は経過観察で可であるが、腫瘍増大による通過障害を起こしたり、悪性リンパ腫やGISTなど悪性腫瘍が疑われる場合には手術が必要となる。
 
  1. 食道SMTで最も多いのは平滑筋腫であり、GISTはまれである。
  1. まとめ:食道SMTで最も多いのは平滑筋腫であり、平均サイズは約2 cmである。悪性である平滑筋肉腫やGISTはまれであり、サイズが大きい。
  1. 代表事例:食道SMTで最も多いのは平滑筋腫であり[1]、食道良性腫瘍の60%を占める[2]
    一方、食道原発GISTは消化管GISTの5%以下であり、きわめてまれである[3]
    Jiangらは平滑筋腫は中下部が多く、固有筋層由来が70%、平均サイズは約2 cm、有症状例の平均サイズは5.2 cmで主症状は嚥下困難。一方、無症状例の平均サイズは0.4 cmと報告している[4]
    平滑筋腫の悪性化は非常にまれであり[5]、腫瘍のサイズは5 cmを超えるものが80%を占め、10 cm以上の巨大なものも高頻度で、血行性転移による原病死が多い[6]。メタアナリシスから食道平滑筋肉腫は1生率60.3%、3生率42.8%、5生率32.1%である[7]
  1. Miettinenらは68例の食道GISTと平滑筋腫を免疫組織学的に検討し、平滑筋腫48例、平滑筋肉腫3例、GIST17例であった。GISTのサイズは2.6〜25 cmで占拠部位はすべて下部食道であった。生存期間は2〜54カ月(平均26カ月)、5 cm以下で偶然発見された症例の原病死はなく、原病死した9例はすべて10 cmを超えていた。平滑筋腫48例中8例は10 cmを超えていた。平滑筋肉腫は9〜16 cmで全例原病死した[8]
問診・診察のポイント  
  1. 問診においては嚥下困難、胸痛、悪心、嘔吐などの通過障害による症状の有無を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
岡田裕之 : 未申告[2024年]
監修:木下芳一 : 講演料(アストラゼネカ(株),武田薬品工業(株),大塚製薬(株),ヴィアトリス製薬(株))[2024年]

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食道粘膜下腫瘍

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