急性肝不全

著者: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

監修: 金子周一 金沢大学大学院

著者校正/監修レビュー済:2019/06/13

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 正常肝ないし肝予備能が正常と考えられる肝に肝障害が生じ、初発症状出現から8週以内に、高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間が40%以下ないしはINR値1.5以上を示すものを「急性肝不全」と診断する。
  1. 病型および成因によって分類する。
  1. 病型分類:
  1. 「非昏睡型」肝性脳症が認められない、ないしは昏睡度がⅠ度までの症例
  1. 「昏睡型」 昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する症例で、初発症状発現から昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症が出現するまでの期間で、「急性型」と「亜急性型」に分類
  1. 「急性型」 初発症状発現から10日以内に昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する症例
  1. 「亜急性型」初発症状発現から11日以降に昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する症例
 
  1. 成因分類:
  1. 肝炎症例
  1. ウイルス性(A型、B型[急性感染例、キャリア例]、C型、E型、その他)
  1. 自己免疫性
  1. 薬物性(アレルギー)
  1. 成因不明例
  1. 肝炎以外の症例
  1. 薬物性(中毒)
  1. 代謝性(Wilson病など)
  1. 循環不全
  1. 悪性腫瘍の肝浸潤
  1. その他
  1. 急性肝不全昏睡型のうち、成因がウイルス性、自己免疫性、薬物アレルギーなどで、肝炎を伴う症例が劇症肝炎に相当し、劇症肝炎は急性肝不全に含まれる疾患単位である。
  1. プロトロンビン時間が40%以下ないしはINR値1.5以上で、初発症状出現から8週以降24週以内に昏睡Ⅱ度以上の脳症を発現する症例は「遅発性肝不全」と診断し、「急性肝不全」の類縁疾患として扱う。
 
診断: >詳細情報 
  1. 急性肝不全は厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班が2015年に発表した診断基準に準拠して診断する。<図表>
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

急性肝不全の成因の検索
  1. ウイルス性、自己免疫性、薬物性、その他の鑑別に実施する血液検査
○ 成因を検索する場合、スクリーニングとして1)2)3)4)を、病態に合わせて5)を行う。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 厚生労働省研究班は2011年にわが国における急性肝不全の診断基準を作成し、劇症肝炎は急性肝不全の中に含まれる疾患群と位置付けるようになった。今回はこの動向に従って疾患概念などの項目を改訂し、また、全国集計のデータを最新の情報に更新した。


ページ上部に戻る

疫学、診断、治療、予後、それらのエビデンス等をご覧になりたい場合には、
トライアル登録またはご契約へ
  • 消化器 の他のコンテンツを見る