皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)(壊死性血管炎が皮膚に起こった場合) :トップ    
監修: 戸倉 新樹 浜松医科大学医学部附属病院 皮膚科
川上民裕 聖マリアンナ医科大学 皮膚科学

概要

疾患のポイント:
  1. 結節性多発動脈炎とは“皮下脂肪織内から真皮下層”の小動脈(small artery)を中心に壊死性血管炎が起こる疾患である。血管炎としての全身症状がなく皮膚症状のみの場合には、皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)の診断となる。ただ、末梢神経障害(多発性単神経炎)や関節炎等も随伴症状とみなされている。
  1. 壊死性血管炎を来す疾患には、結節性多発動脈炎のほかに、ANCA関連血管炎(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症[旧名Churg-Strauss症候群]、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症[旧名Wegener肉芽腫症])、IgA血管炎(旧名Henoch-Schönlein紫斑病)、 膠原病に基づく血管炎、巨細胞動脈炎、クリオグロブリン血症性血管炎などがある。
  1. Palpable purpura(触知可能紫斑)と網状皮斑(リベド)が最も血管炎を意識すべき皮膚症状である。網状皮斑(リベド)の中のLivedo racemosa(分枝状皮斑)は、皮下を中心とした血管炎がその局所ごとにピンポイントで末梢の循環不全を起こすので、ところどころに軽く皮下結節を触れるメリハリのついた環の閉じない状態となる。<図表><図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. 皮膚動脈炎の診断には、壊死性血管炎の証明、皮膚症状に限局していることの確認、全身性血管炎ではないことの証明を行う。
  1. 血管炎の証明には、皮膚生検で真皮下層から皮下脂肪織に壊死性血管炎像を確認する。
  1. 皮膚症状に限局し全身性血管炎の症状を伴わない疾患が皮膚動脈炎である。全身性血管炎ではないことの証明のために、診療アルゴリズム(川上アルゴリズム)にそって皮膚血管炎の評価を行う。(簡易版:アルゴリズム・厳密な分類版:…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

血中MPO-ANCA、PR3-ANCA、クリオグロブリン測定し、全身性血管炎を鑑別する。皮膚生検標本での蛍光抗体直接法を施行し、罹患血管でのIgA沈着を確認する。
  1. ANCA関連血管炎を意識し、ELISA法でのANCAを測定する。MPO-ANCA陽性なら、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症か顕微鏡的多発血管炎が相当する。しかし、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は半分がMPO-ANCA陰性となるので注意が必要で、喘息やアレルギー性鼻炎の既往、血中好酸球増多そして病理像での好酸球混在などを参考に診断する。顕微鏡的多発血管炎は、間質性肺炎、糸球体性腎炎を合併し、重篤な全身症状を伴う。PR3-ANCA陽性で鼻、副鼻腔から肺に到る上下気道に血管炎があれば多発血管炎性肉芽腫とする。
  1. クリオグロブリンを測定することによりクリオグロブリン血症性血管炎を診断する。
  1. 皮膚生検標本での蛍光抗体直接法を行い、罹患血管にIgA沈着があればIgA血管炎と診断する。ここで、臨床上のpalpable purpuraを確認する。
  1. 抗リン脂質抗体、ループスアンチコアグラントや抗カルジオリピン抗体、抗ホスファチジルセリン・プロトロンビン複合体抗体を測定しつつ、壊死性血管炎像が真皮内特に上中層であれば、皮膚白血球破砕性血管炎、皮下脂肪織内、ときに真皮下層に及ぶ、であれば、皮膚動脈炎となる。
○ 皮膚生検で壊死性血管炎の存在を確認する。

追加情報ページへのリンク

  • 皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)(壊死性血管炎が皮膚に起こった場合)に関する詳細情報
  • 皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)(壊死性血管炎が皮膚に起こった場合)に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • 皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)(壊死性血管炎が皮膚に起こった場合)に関するエビデンス・解説 (4件)
  • 皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)(壊死性血管炎が皮膚に起こった場合)に関する画像 (13件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

皮膚血管炎の川上アルゴリズム(簡易版川上アルゴリズム)
皮膚血管炎の川上アルゴリズム(改定版川上アルゴリズム)
皮膚動脈炎の診療アルゴリズム
皮膚動脈炎
皮膚動脈炎
蕁麻疹様血管炎
リベド血管症
抗リン脂質抗体症候群
Henoch-Schönlein紫斑(IgA血管炎)
白血球破砕性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01


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