脂腺母斑 :トップ    
監修: 戸倉 新樹 浜松医科大学医学部附属病院 皮膚科
竹中秀也 京都市立病院 皮膚科

概要

疾患のポイント:
  1. 脂腺母斑とは、脂腺の増加を特徴とする過誤腫性の限局性病変で、多くは生下時から存在する。
  1. 脂腺母斑は、生下時から頭部の黄色調を呈する脱毛斑として認められることが多い。脂腺母斑は、新生児期や幼少時期には、わずかに隆起した黄白色の局面を呈する。<図表>
  1. 脂腺母斑は、思春期頃から肥厚・隆起し、表面が疣贅状となる。<図表>
  1. 脂腺母斑は、30歳以降になると多彩な良性ないし悪性の二次腫瘍が発生する(<図表>)。続発する腫瘍としては良性付属器腫瘍(毛芽腫、脂腺腫や乳頭状汗管嚢胞腺腫など)や、悪性腫瘍では 基底細胞癌 が多い。
  1. 思春期以降では、整容的見地、二次腫瘍の予防や二次腫瘍の治療などの目的で脂腺母斑の切除を行う。
  1. きわめてまれに、脂腺母斑が(線状)脂腺母斑症候群の皮膚症状としてみられることがある。本症候群は顔面正中部の列序性脂腺母斑、けいれん、精神発達遅滞を3徴候とし、中枢神経系、眼、骨格系、心・血管系、泌尿・生殖器系などの異常を合併する。

診断: >詳細情報 
  1. 頭部に生下時から存在し、黄色調を呈する脱毛斑であれば、脂腺母斑の診断はまず間違いない。
  1. 先天性皮膚欠損症、円形脱毛症、乳頭状汗管嚢胞腺腫様母斑、若年性黄色肉芽腫などを除外する。
  1. 顔面正中部の列序性脂腺母斑、けいれん、精神発達遅滞を認めるなど、線状脂腺母斑症候群が疑われる場合には、脳波検査、頭部CT・MRI、脳血流の評価にSPECTやPETなどが必要である。
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 脂腺母斑自体は放置してかまわないが、二次的に生じる皮膚腫瘍のなかには悪性腫瘍も含まれるため、予後はこれらによって異なる。
  1. 線状脂腺母斑症候群では、一般に生命予後は良好であるが、多数の奇形を合併した例で死亡例の報告もある。

初期治療: >詳細情報 
  1. 新生児期や幼少時期であれば、経過観察とする。
  1. 思春期以降で切除の希望がある場合や二次腫瘍が疑われる場合には、外科的治療を考慮する。

専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 脂腺母斑の切除を希望する場合、脂腺母斑から二次腫瘍が生じたと考えられる場合、けいれんなどの合併を認める場合には、皮膚科・形成外科・小児科に紹介する。
 
臨床のポイント:
  1. 生下時からの脱毛斑を見たら本症を想起する。
  1. 整容的理由あるいは二次腫瘍をみたら思春期をメドに切除を考慮する。
 
※「臨床のポイント」は監修者による執筆です。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

脂腺母斑上に二次腫瘍が生じた場合の検査例
  1. 脂腺母斑では、悪性腫瘍が二次的に生じることがあるため診断を確定する必要がある。<図表>
○ 二次腫瘍が疑われた場合、1)の検査を行う。
1)
皮膚生検

線状脂腺母斑症候群が疑われる場合の検査例
  1. 線状脂腺母斑症候群が疑われる場合には、脳波異常、脳内の器質的病変、脳血流の評価などの検索が必要である。
○ 線状脂腺母斑症候群が疑われる場合、スクリーニングとして1)の検査を行う。
1)
脳波検査、頭部CT・MRI、脳SPECT・PET

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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

脂腺母斑の診断・治療アルゴリズム
脂腺母斑:小児の脱毛斑
脂腺母斑:わずかに隆起した黄色の局面
脂腺母斑:疣贅状の結節
脂腺母斑:成人の頭部に生じた二次腫瘍(毛芽腫)
脂腺母斑に生じた基底細胞癌
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01