今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 下村裕 山口大学 皮膚科学講座

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2021/03/10
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 円形脱毛症に対するかつらの使用について追記した。
  1. 円形脱毛症に対するステロイド内服療法の期間に上限を設けた。
  1. 男性型脱毛症の治療にデュタステリド内服療法を追加した。

概要・推奨   

  1. 単発型から融合傾向のない多発型の円形脱毛症の場合、年齢を問わずstrongvery strongstrongestクラスのステロイド外用療法を行うことが推奨される推奨度2CJG)。
  1. 脱毛面積が頭皮の25%未満の成人の円形脱毛症の場合、ステロイド局注療法を行うことが推奨される(推奨度2CJG
  1. 脱毛面積が頭皮の25%以上の多発型、全頭型や汎発型の円形脱毛症の場合、年齢を問わず局所免疫療法を行うことが推奨される(推奨度2CJG
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 脱毛は、何らかの原因によって毛髪が抜ける現象である。
  1. 頭髪は約10万本あり、そのうちの85~90%が成長期毛であり、それ以外は退行期か休止期である。
  1. 休止期毛は容易に抜けやすく、正常でも1日に50~100本の頭髪が自然に脱毛する。
  1. 上記以上に脱毛が認められる場合は異常であり、「脱毛症」という診断名を考慮するべきと考える。
  1. 脱毛症は、後天性脱毛症と先天性脱毛症に大別される。
  1. 後天性脱毛症で頻度が高い2大疾患は、男性型脱毛症と円形脱毛症である。
  1. 円形脱毛症の患者では、アトピー性疾患や甲状腺疾患の合併率が高いことが知られている。
  1. 上記以外にも、さまざまなタイプの後天性脱毛症がある。
  1. 後天性脱毛症に比べると頻度は低いが、先天性脱毛症の患者は少なからず存在する。
  1. 先天性脱毛症は、非症候性と症候性に大別される。
  1. 日本人における非症候性の先天性脱毛症患者のほとんどが、lipase H (LIPH)遺伝子に共通の創始者変異を有する。
 
連珠毛

病歴:4歳男児。生下時より頭部の乏毛を認める。父と妹にも同様の症状あり。
診察:頭部の乏毛と、毛孔性紅斑を認める。毛髪は脆弱で切れやすい。
診断のためのテストとその結果:毛髪を光学顕微鏡で観察したところ、明らかな連珠毛の所見を認めた。
 
コメント:連珠毛は、その名の通り、毛髪の径が周期的に異常に細くなることが特徴の先天性毛髪疾患であり、常染色体優性もしくは劣性遺伝形式を示す。前者は毛ケラチン遺伝子(KRT81, KRT83, またはKRT86)の、後者はデスモグレイン4遺伝子(DSG4)の変異によって発症することが知られている。

出典

著者提供
 
Netherton症候群

病歴:3歳男児。生下時からの全身の紅斑と乏毛症を主訴に受診。
診察:体幹、四肢に落屑を伴う紅斑が散在。頭髪は脆弱で容易に切れやすい。
診断のためのテストとその結果:体の紅斑からの皮膚生検では、表皮肥厚と角層の菲薄化、真皮上層の炎症細胞浸潤が認められた。血液検査では好酸球とIgEが高値を示した。頭髪を光学顕微鏡で観察したところ、典型的な陥入性裂毛の所見が認められた。<図表>遺伝子検査でSPINK5遺伝子に複合ヘテロ接合型変異が同定された。
治療:弱~中程度のステロイドと保湿剤の外用で経過観察中。
 
コメント:本症は、魚鱗癬様紅皮症、アトピー素因、陥入性裂毛を3徴候とする常染色体劣性遺伝性疾患。本症例で認められた皮疹は曲折線状魚鱗癬が主体だった。本症は、セリンプロテアーゼ阻害薬の1つであるLEKTIという蛋白質をコードしているSPINK5遺伝子の変異によって発症することが知られている。 

出典

著者提供
 
Netherton症候群で認められる陥入性裂毛の光学顕微鏡所見

本疾患では、毛髪の所見が診断に決定的な役割を果たす。ただし、生後1~2年は認めにくい。

出典

著者提供
 
問診・診察のポイント  
 
 
  1. 脱毛症の原因は多岐にわたるため、丁寧に問診・診察する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
下村裕 : 講演料(日本イーライリリー(株)),奨学(奨励)寄付など(サンファーマ(株),マルホ(株))[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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