幽門狭窄症(小児科) :トップ    
監修: 渡辺博 帝京大学医学部附属溝口病院
榊原裕史 東京都立小児総合医療センター 総合診療科

概要

疾患のまとめ:
  1. 幽門狭窄症とは、輪状筋を主とする幽門筋の肥厚により、幽門管が狭小化・延長して胃内容の通過障害を来す疾患である。噴水状に無胆汁性の嘔吐を認める。嘔吐により体重増加不良や脱水を呈し、また低Cl血症・低K血症を伴う代謝性アルカローシスを来す。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断基準にはPMT (pyloric muscle thickness)、PML (pyloric muscle length)、PD (pyloric diameter)などを使用する。
  1. PMT 3~4㎜以上
  1. PML 15~19㎜以上
  1. PD 10~14㎜以上
  1. エコー上の計測値だけでなく、幽門管の形態とその経時的な変化や、胃内容物の通過状況の観察が重要である。
  1. 幽門管の形態は動的な変化を示し、時間とともに変化する。観察の全期間を通じ筋層の厚さが診断基準を満たせば、可能性は高くなる。
  1. antral nipple sign(余剰な幽門管粘膜が胃内へ飛び出してみえる)なども参考所見となる。幽門管の通過の状況は患児を軽く右側臥位にして観察する。胃が虚脱している場合には糖水を授乳しながら行うとよい。
  1. 腹部超音波所見:<図表> <図表>
  1. 腹部単純X線:<図表>
  1. 幽門狭窄症乳児の胃蠕動波:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 嘔吐による脱水、胃液の喪失により生じる低Cl性代謝性アルカローシス・低K血症が典型例における血液検査上の特徴である。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

硫酸アトロピン療法例
  1. エビデンスレベルは低いものの日本では硫酸アトロピン療法を選択する施設も多い。その際は、静注で開始し、症状の改善がみられれば内服に変更する。
  1. 1回 0.01mg/kg 1日6回 5分かけてゆっくり静注 7~10日間
  1. その後0.12mg/kg 分6 哺乳前30分以内に内服 2週間
  1. 2週間ごとに、0.06mg/kg 分6、0.03mg/kg 分6と減量する。
○ 硫酸アトロピン療法を選択する場合は1)で開始し、哺乳量が1日150ml/kg以上になった段階で2)へ変更する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

腹部超音波所見
腹部単純X線
硫酸アトロピン療法のプロトコル
腹腔鏡下粘膜外幽門筋切開術
幽門狭窄症乳児の胃蠕動波
肥厚性幽門狭窄症
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01