今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 水守康之 姫路医療センター 呼吸器内科

監修: 杉山幸比古 練馬光が丘病院 呼吸器内科

著者校正/監修レビュー済:2023/06/22
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 最新の知見に基づき改訂を行なった(定期レビュー)。
  1. 非外傷性の乳糜胸水の原因として、慢性骨髄性白血病またはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病の治療であるダサチニブ療法による薬剤誘発性、その他いくつかの疾患を追記した。
  1. MR lymphangiographyについてのエビデンス、「難治性の乳糜胸水で漏出部位が不明の際は、MR lymphangiographyを考慮する」を追記した(Yu DX, et al. Eur Radiol. 2013 Mar;23(3):702-11ほか)。
  1. 近年、リンパ管造影のアプローチ方法は難易度が高い足背リンパ管穿刺から、鼠径リンパ節穿刺に置き換わっていることを紹介している。
  1. 難治例では胸管塞栓術を考慮することについての新たなメタ解析について追記した(Mittleider D, et al. J Vasc Interv Radiol. 2008 Feb;19(2 Pt 1):285-90、Kariya S, et al. Cardiovasc Intervent Radiol. 2018 Mar;41(3):406-414.)。

概要・推奨   

  1. 胸水検査の際には乳糜胸水を念頭に置いてTGを測定することが勧められる(推奨度1)
  1. 外傷歴のない乳糜胸水を認めた際には、悪性腫瘍の検索を行うことが勧められる(推奨度2)
  1. 乳糜胸水の患者には絶食・完全静脈栄養(TPN)を行うことが勧められる(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 乳糜とは胸管を流れる乳白色のリンパ液である。乳糜はカイロミクロンに富む。何らかの原因で胸管が破綻して乳糜が胸腔内に漏出したものが乳糜胸水である。
  1. 原因は、成人では手術に伴う外傷によるものが最も多く、非外傷性では悪性腫瘍によるものが多い[1]。悪性腫瘍としては、悪性リンパ腫や転移性腫瘍、肺癌などが原因となる。
  1. 小児の先天性胸水の原因として最も多い[2]。また小児の先天性心疾患術後に乳糜胸水を合併する頻度は成人の胸部術後よりも高い。ただし本稿では以下、主に成人例について述べる。
  1. 術後に乳糜胸水を合併する率は縦隔リンパ節郭清を伴う肺切除術では2.4%、食道切除術では4%、ただし食道癌手術時に胸管結紮を併用すると0.9%との報告がある[3][4][5]
  1. 非外傷性の乳糜胸水は、悪性腫瘍のほかに上大静脈血栓症、肝硬変、心不全、サルコイドーシス、結核、黄色爪症候群、リンパ脈管筋腫症(LAM)など多くの疾患に合併する。ただし各々の頻度は高くない。
  1. 原因を特定できない、いわゆる特発性の症例もみられる。
  1. 症状は胸水貯留による呼吸困難や倦怠感である。また、ドレナージにより大量の蛋白、脂肪、電解質、脂溶性ビタミン、リンパ球、免疫グロブリンの喪失が継続すると、低栄養と免疫不全を生じる。このため早期に乳糜胸水の流出を止める処置が必要となる。
問診・診察のポイント  
  1. 自覚症状を確認する。症状は呼吸困難感や胸部違和感、倦怠感として現れる。乳糜には刺激性がないため、胸水貯留による症状以外は少ない。通常、乳糜胸水では発熱や疼痛などは認めない。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
水守康之 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:杉山幸比古 : 特に申告事項無し[2025年]

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