乳縻胸水 :トップ    
監修: 杉山幸比古 練馬光が丘病院 呼吸器内科
水守康之 姫路医療センター 呼吸器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 胸管を通過する乳白色のリンパ液を乳糜と呼ぶ。乳糜は脂肪成分に富むため乳白色を呈する。なんらかの原因で胸管が損傷し、胸腔内に乳糜が漏出したものが乳糜胸水である。
 
診断: >詳細情報  アルゴリズム
  1. 白濁した胸水をみた際に、TG(胸水)≧110mg/dlかつT-chol(胸水)/ T-chol(血清)<1であれば、乳糜胸水と診断される。
  1. TG(胸水)が50~110mg/dlであっても、胸水のリポ蛋白分析でカイロミクロンを証明できれば、乳糜胸水と診断される。
  1. 併行して、合併症、原因疾患の評価を行う(問診例: >詳細情報 )
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 外傷性では早期から多量の乳糜の漏出がみられるものは保存的治療で改善が難しく、外科的治療を要することが多い[6]。非外傷性では保存的治療が主体となるが、予後は背景の疾患により大きく異なる。
 
治療: >詳細情報  アルゴリズム
  1. まず保存的治療を試みる。
  1. 保存的治療は絶食、完全静脈栄養(TPN)が基本となる。効果不十分の場合はサンドスタチン50~100μg皮下注1日3回(8時間ごと)を投与する。乳糜の漏出量の少ない症例では中鎖脂肪酸(MCT)を含む低脂肪高蛋白食を試みてもよいが、無効例も多い。
  1. 上記の保存的治療にもかかわらず①平均排液量1,500ml/日以上が5日以上続く、②保存的治療が2週間以上に及ぶ、③栄養状態の悪化した場合、あるいは④保存的治療7日目に排液量1,000ml/日以上である場合などが、一般的な外科的治療の適応とされている。乳糜喪失に伴う低栄養状態で全身が衰弱する前に外科治療を考慮する。
  1. 外科的治療を行わない場合は胸膜癒着を考慮する。注入する薬剤としてミノマイシン単独では不成功例の報告が多い。ピシバニール(±ミノマイシン)、またはタルクによる治療が勧められる(いずれも保険適用外)。
  1. 近年、難治例に対…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

胸水検査時のオーダー例
  1. 乳糜胸水診断のために下記の検査を考慮する。
○ 1)~4)をスクリーニングとして、5)を確定診断として行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

アルゴリズム1 乳糜胸水 診断のフローチャート
アルゴリズム2 乳糜胸水 治療のフローチャート
乳糜胸水
術後乳糜胸水の胸腔鏡所見
術後乳糜胸水の胸腔鏡所見
乳糜胸のX線写真
乳糜胸水
著者校正/監修レビュー済
2017/01/20


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