外陰ヘルペス :トップ    
監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学
吉村和晃 産業医科大学若松病院 産婦人科

概要

疾患のポイント:
  1. 外陰ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus、HSV)1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染による外陰部の性感染症である。
  1. 性器ヘルペスウイルス感染症は、感染症法の5類感染症に分類され、性感染症定点医療機関(産婦人科等医療機関)では、月単位で最寄の保健所に届け出る必要がある。
 
診断: >詳細情報 
  1. 外陰部の強い疼痛を訴えて来院し、外陰部に水疱、潰瘍性病変など認められれば、まず外陰ヘルペスを疑う。
  1. 確定診断のためは、病変部位からの細胞診パパニコロウ染色または病変部からの塗末標本の抗原検査が実用的であるが、感度は60~70%にとどまる。発症の既往があっても症例によっては、再度抗原検査を行い単純ヘルペスウイルス感染であることを確かめ、型を特定する。なお、CDCのガイドラインでは、ウイルスの分離培養、ならびにPCRが推奨されているが、わが国では保険適用がなく時間と費用がかかる。
  1. 病変からの検体の採取が困難な場合は、血清抗体価測定(ELISA法によるIgM、IgG抗体)による評価を行うこともある(結果の解釈方法: >詳細情報 )。
  1. 性器ヘルペスの血清抗体値による既感染、初感染の評価方法:<図表>
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 全身症状・髄膜刺激症状を伴う場合、外陰部病変の個数が多く範囲が広い場合、痛みが激しい場合は重症である。
 
治療: >詳細情報 
  1. 病歴・肉眼所見からHSV感染を疑ったら抗ウイルス薬を投与する。なお、HSV感染の治療には抗ウイルス薬の内服が必須である。なお、軟膏のみでは局所のウイルス抑制程度の効果しかない。また、一度HSV感染するとウイルスは神経に潜伏し、抗ウイルス薬を投与しても完全に体内から排除することはできない。
  1. 1年間に6回以上再発する症例や、再発時の症状が重症な場合は、抗ウイルス薬による再発抑制療法を行う。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. 外陰部水疱性・潰瘍性病変をみたらHSV感染を疑い、病変部より抗原検査(蛍光抗体法・免疫クロマト法)または細胞診を行う。
  1. 病変部からの検体採取が難しい場合は、血清抗体法(ELISA、IgG・IgM)を行う。
  1. IgM値が高値の場合は初発感染と評価してよい。なお、IgM上昇までに数週間を要するため、症状があらわれて早期には、IgMの低値をもって疾患を除外することはできない。なお、IgG抗体は幼少期の感染によりわが国では50%程度の成人が陽性であるため、ペア血清の評価なしに診断をすることは難しい。
○ 1)2)で診断をする。病変からの検体採取が難しい場合は3)で評価をすることもある。

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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

外陰部水疱性・潰瘍性病変の診断・治療
性感染症報告数の年次推移(定点報告)
初感染初発型の臨床経過
再発型の臨床経過
女性性器におけるHSV初感染例の年次別再発率
性器ヘルペスの血清抗体値による既感染、初感染の評価
著者校正/監修レビュー済
2018/08/10


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