妊娠初期放射線被曝 :トップ    
監修: 金山尚裕 浜松医科大学 産婦人科
関沢 明彦 昭和大学医学部産婦人科学講座

概要

ポイント:
  1. 妊娠可能年齢の女性では、妊娠の可能性を念頭に置いた診療が重要である。
  1. 放射線検査により被曝が起こった場合には、被曝時期と線量の推定が重要である。
  1. 受精後10日までの被曝では奇形発生率の上昇はない。
  1. 受精後11日~妊娠10週での胎児被曝は奇形を発生する可能性があるが、50mGy未満では奇形発生率を上昇させない。
  1. 妊娠10~27週では中枢神経障害を起こす可能性があるが、100mGy未満では影響しない。
  1. 小児癌は確定的影響により起こり、低線量被曝による影響はかなり低いと考えられる。10mGy程度の放射線被曝は発症頻度をわずかに上昇させるが、個人レベルでの発癌リスクは低い。
  1. 検査別の胎児被曝線量:<図表>
  1. 放射線被曝した際のアルゴリズム:アルゴリズム
 
妊娠初期胚への影響: >詳細情報 
  1. 大量の放射線は受精卵を死亡させ流産を起こす可能性があるが、流産せずに生き残った胎芽は完全に修復されて奇形(形態異常)を残すことはなく、“all or none”の法則が成り立つ。
 
胎芽への影響: >詳細情報 
  1. 受精後10~13日の間での被曝妊婦からの相談も多いが、診断目的での放射線被曝線量は、50mGyの閾値(しきい線量)よりも相当小さいので、この時期の被曝による奇形が問題になるケースは少ない。
  1. 妊娠4~10週は器官形成期であり、奇形が発生する可能性のある時期である。しかし、この時期であっても50mGy未満では奇形発生率は上昇しない。
 
胎児器官形成期(妊娠4~10週)の線量閾値: >詳細情報 
  1. ICRP 84には、妊娠のどの時期であっても「100mGy未満の胎児被曝線量は、妊娠中絶の理由と考えるべきではない」としている。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

放射線被曝した際のアルゴリズム
検査別の胎児被曝線量
著者校正/監修レビュー済
2018/05/23

改訂のポイント
  1. 産婦人科診療ガイドライン 産科編2017
に基づき確認を行った(変更点なし)。