今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 三宅成智 みはな耳鼻・甲状腺クリニック

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2025/03/12
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『甲状腺腫瘍診療ガイドライン2024』の発表に伴いコンテンツ内容を改訂した。また、甲状腺腫瘍のうち、悪性腫瘍についても当コンテンツ内に記載していたが別項(甲状腺癌)に譲るため記載を削除し、良性腫瘍についての記載を主とした加筆・修正を行った。

概要・推奨   

  1. 甲状腺腫瘍の診療は、①良悪性の鑑別、②甲状腺機能亢進症の有無の判定、が重要である。
  1. 甲状腺腫瘍では良悪性の判別が困難なことも多く、慎重な対応が求められる。
 

まとめ 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 甲状腺腫瘍には良性腫瘍、悪性腫瘍があり、良性腫瘍では主なものとして濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫がある。
  1. 慢性甲状腺炎(橋本病)により甲状腺の一部分が結節状となることがある(橋本病結節)。慢性甲状腺では乳頭癌や悪性リンパ腫が発生することもあり、鑑別には注意を要する。
  1. 甲状腺ホルモンを産生する腫瘍があり、自律性機能性甲状腺結節(auto-functioning thyroid nodule:AFTN)と呼称される。甲状腺機能亢進症の原因となるため、機能亢進と腫瘍があり疑われる場合には甲状腺シンチグラフィの検査適応がある。
  1. 腫瘍と混同しやすい疾患に、亜急性甲状腺がある。圧痛を伴う結節では、悪性腫瘍とともに鑑別診断として考える必要がある。経過中に甲状腺内で移動する、甲状腺機能の破壊性亢進といった特徴がある(FT3、FT4の上昇、Tg上昇など)。
  1. 濾胞腺腫は、濾胞上皮に由来し、通常は単発性である。
  1. 腺腫様甲状腺腫は結節性増殖が多発するのが特徴で、わが国の成人女性の数%と高い頻度で認める。
  1. 甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018年版に示された甲状腺癌の危険因子は以下の通り。放射線被ばく(被ばく時年齢19歳以下、大量)(Grade A[1][2]、遺伝(Grade A)(代表的なものが多発性内分泌腫瘍症2型に属する髄様癌)[3]、体重の増加(Grade B[4]
  1. 甲状腺結節における悪性腫瘍の頻度:触診で甲状腺結節が発見された場合、癌の頻度は5~17.0%である。超音波検査で甲状腺結節が発見された場合、癌の頻度 2.6~8.3%である。
  1. 甲状腺結節の鑑別診断には、超音波検査がまずは推奨される。術前評価などを別として、CT、MRI、FDG-PET検査は推奨されない。
 
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 臨床経過(現病歴、既往歴)、検査歴、受診経緯、前医で受けた説明内容、家族歴

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
三宅成智 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:森山寛 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2025年]

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甲状腺腫瘍(診断と良性腫瘍の治療)

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