胎児発育不全 :トップ    
監修: 金山尚裕 浜松医科大学 産婦人科
鈴木一有 伊東宏晃 浜松医科大学 周産母子センター

概要

疾患のポイント:
  1. 胎児発育不全とは、胎児が何らかの理由で本来発育するべき大きさに育っていないことである。胎児発育不全には、多岐にわたる病態が含まれ、主に母体因子、胎盤・臍帯因子ならびに胎児因子に分類される。
  1. 胎児発育不全の多くは無症候であり、妊婦健診でみつかることが多い。
  1. 胎児発育不全の危険因子を有する妊婦には特に注意が必要であり、積極的に超音波による胎児計測を行う。
 
診断: >詳細情報 
  1. 胎児発育不全のスクリーニングの時期や方法に関する検討は十分にされていないが、健診ごとの子宮底長測定と妊娠30週頃までの超音波による胎児計測が提唱されている。
  1. 胎児発育不全の診断には、胎児推定体重ならびに胎児腹囲の測定などを行い、再検によるそれらの経時的変化および羊水量の評価も含め総合的に診断を行う。胎児体重基準値を用い、-1.5SD値以下を診断の目安とする。
  1. 胎児体重の妊娠週数ごとの基準値:<図表>
  1. 胎児腹囲の妊娠週数ごとの基準値:<図表>
  1. 胎児発育不全を疑った場合、妊娠週数の再確認が必要であり、可能であれば妊娠初期の計測値を参考にする。
  1. 複数の形態異常、当該染色体に特徴的な形態異常、高度胎児発育不全があった場合には胎児の染色体異常も疑う。
 
 
母体危険因子・原因の評価:
  1. 原因評価の目的で、必要により、風疹・サイトメガロウイルス・トキソプラズマ・パルボウイルスなどの抗体価測定を行う。
  1. ほかに、超音波などにより胎児形態異常、胎盤臍帯異常の精査や、妊娠高血圧症候群関連の評価(血圧、蛋白尿など)、その他母胎疾患(糖尿病、甲状腺機能亢進症、抗リン脂質抗体症候群など)の評価を行う。
  1. 上記の評価により複数の特徴的な形態異常や高度の胎児発育不全を認める場合は、染色体異常も疑う。
 
危険因子の除去・原因の治療:
  1. 胎児発育不全児には以下に記したような母体危険因子が知られており、これらの危険因子の中で除去できるものを除去する。
  1. 母体危険因子:
  1. 内科的合併症:高血圧、糖尿病、腎疾患、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群、膠原病、心疾患など
  1. 生活習慣:喫煙、アルコール、大量のカフェイン摂取など

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

胎児発育不全の診断例
  1. 胎児発育不全の母体危険因子は重要であるため、慎重に問診を行う(詳細 >詳細情報 )。
  1. 胎児発育不全の診断には、胎児体重基準値を用い、-1.5SD値以下を診断の目安とする。
  1. 胎児発育不全の診断には、胎児推定体重ならびに胎児腹囲の測定などを行い、再検によるそれらの経時的変化も含め総合的に診断を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

胎児体重の妊娠週数ごとの基準値
胎児腹囲の妊娠週数ごとの基準値
著者校正/監修レビュー済
2016/07/21