無排卵症

著者: 堀江 昭史 京都大学大学院 医学研究科

監修: 杉野法広 山口大学 産科婦人科学

著者校正/監修レビュー済:2018/11/22

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 性成熟女性において排卵は1ヶ月に一度起こるが、数ヶ月に1回の排卵になることを稀発排卵といい、全く排卵が起こらない状態を無排卵症という。排卵は、視床下部、下垂体、卵巣が連動して起こるが、このいずれかに異常が起こることで無排卵となる。
  1. 多くの場合は、視床下部−下垂体−卵巣系の未熟性による排卵障害であり、特に若年者に多いことが特徴である。
  1. 主な原因としては①多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、②神経性食欲不振症などによる極度の体重減少、スポーツ選手に代表的な視床下部の抑制、③下垂体の機能低下、④卵巣機能低下、⑤黄体化非破裂卵胞症候群(LUF)がある。
 
診断: >詳細情報 
  1. 妊娠を除外する。
  1. 無排卵=無月経ではない。排卵はなくても月経様の出血を認めることがあるので、経血量、性状、期間などを聴取する。
  1. 問診、内診、経腟超音波検査、基礎体温表、ホルモン検査などを経時的変化をみながら、総合的に診断する。
 
原因の評価: >詳細情報 (鑑別疾患の詳細: 鑑別疾患 )
  1. ポイント:
  1. 無排卵症は、視床下部、下垂体、卵巣のいずれかの異常が原因であるが、主に以下の疾患を考慮する。
  1. 視床下部
  1. 神経因性食欲不振症
  1. 視床下部の抑制(特にスポーツ選手など)
  1. 下垂体性
  1. Sheehan症候群
  1. 下垂体腫瘍
  1. 甲状腺機能低下症
  1. 高プロラクチン血症(下垂体腫瘍、薬剤性、原因不明)
  1. 多囊胞性卵巣症候群(PCOS)
  1. 卵巣性:
  1. Turner症候群など染色体変化を伴うもの
  1. 手術、化学療法、放射線治療による卵巣障害
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

無排卵症の診断の判定に重要な検査例
  1. 無排卵症を疑う患者では、問診、内診、経腟超音波検査、基礎体温表、ホルモン検査などを用いて経時的変化を評価し、総合的に無排卵症の診断をする。
  1. 特に、経腟超音波検査で卵胞発育・発育卵胞の消失(排卵)が認められない場合、基礎体温表、ホルモン値(エストロゲン、プロゲステロン)を参考に、無排卵と評価する。
  1. FSH, LH, E2, P4の評価は、視床下部性・下垂体性、卵巣性、PCOSの判断に有用である。
  1. 必要に応じて、高プロラクチン血症、甲状腺機能障害などの原因疾患の評価を行うべきである
○ 無排卵症の評価に1)2)4)を行う。また、高プロラクチン血症、甲状腺機能障害による無排卵を判断するときは3)を追加する。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版
  1. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2017
に基づき、主にホルモン補充療法の薬剤情報を追加した。

ページ上部に戻る


エルゼビアは医療の最前線にいらっしゃる
すべての医療従事者の皆様に敬意を表します。
人々の健康を守っていただき、ありがとうございます。
Thank you for serving us!