今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 堀江昭史 公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 産婦人科

監修: 岩瀬明 群馬大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座

著者校正/監修レビュー済:2024/07/24
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会:産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023
  1. 日本生殖医学会:生殖医療の必修知識 2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『産婦人科診療ガイドライン2023』の発刊に伴いレビューを行った。
  1. LODを考慮する際の注意点を追記した(Bordewijk EM,et al. Cochrane Database Syst Rev. 2020 Feb 11;2(2):CD001122.)。

概要・推奨   

  1. 無排卵を発症する原理を理解する。
  1. 無排卵の原因疾患を把握する。
  1. 無排卵の治療について理解する。

病態・疫学・診察 

疾患(疫学・病態)  
ポイント:
  1. 無排卵は下記のいずれかの部位の障害によるもので、視床下部・下垂体性と卵巣性の無排卵に大別される[1]
  1. 視床下部から分泌されるGnRHの刺激により、下垂体からFSHとLHが分泌される。FSH、LHの作用により卵巣内の卵胞発育が促進し、卵胞からはエストロゲン(E2)が産生される。E2の産生がピークに達するとLHサージが誘発(ポジティブフィードバック)され、排卵が誘起される。
  1. 性成熟女性において排卵は1カ月に一度起こるが、数カ月に1回の排卵になることを稀発排卵といい、全く排卵が起こらない状態を無排卵症という。
 
視床下部・下垂体性無排卵症:
  1. 視床下部−下垂体−卵巣系の未熟性による排卵障害であることが多く、若年者に多いことが特徴である。
  1. 低ゴナドトロピン性性腺機能低下:FSH、LH値が低くE2値も低い(下垂体腫瘍などによる障害や、多くは神経性やせ症、スポーツ選手に代表的な視床下部の抑制)[1]。なお、軽度の視床下部の障害であれば、FSH、LHは正常値を示す。
  1. 高プロラクチン血症に伴う視床下部GnRH分泌の障害による。
 
卵巣性無排卵症:
  1. Turner症候群など染色体変化により卵子を認めないことが原因:E2は基準値以下で、FSH、LHは高値を示す。
  1. 手術、化学療法、放射線治療による卵巣に障害が加わったことが原因:E2は基準値以下で、FSH、LHは高値を示す。
  1. 黄体化非破裂卵胞(LUF):卵胞は成長し排卵の時期となっても、卵胞が破裂せず、排卵が起こらないまま卵胞が黄体化する病態である。一般的に基礎体温は2相性となり、一見、排卵が生じているように思われるので注意する。
 
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome: PCOS):
  1. LH高値、FSH正常で、続発性無月経の女性の約30%に認める。
問診・診察のポイント  
  1. 妊娠の可能性を否定する。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
堀江昭史 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:岩瀬明 : 講演料(フェリング・ファーマ(株))[2024年]

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無排卵症

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