体重減少と無月経(産婦人科)

著者: 能瀬さやか 東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科

監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学

著者校正/監修レビュー済:2018/12/06

概要・推奨  

ポイント:
  1. 1999年の日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会調査によると、思春期の続発無月経の誘因では減食による体重減少が44%を占め最も多い。
  1. 体重減少性無月経とは、体重減少により体脂肪からのレプチン産生が減少し、視床下部からのGnRHのパルス状分泌の障害によりLH、FSHの分泌低下を来し無月経となる状態と考えられている。
 
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 ・アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 体重減少による無月経には、単純体重減少性無月経と、摂食障害の一型である神経性無食欲症とがある。
  1. 神経性無食欲症は若年女性に好発し、極端なやせ、体重増加への強い恐怖、体重や体型へのゆがんだ認識を持つ疾患である。神経性無食欲症は若年化して急増しており、若年女性の500人に1人の頻度で、その死亡率は6〜10%という報告がある。
  1. 誤ったダイエットが原因で比較的治りやすいものから、深い心的外傷や精神的問題を抱えるものまでさまざまなケースが含まれる。
 
治療:
  1. 基本的治療としては、不適切な食習慣を適正化し体重を回復させる(月経が元の体重または標準体重の90%以上までの回復で月経が再開することが多い)。
  1. 体重が標準体重の70%以下の場合、あるいは著しい体重減少かつ体重減少傾向が続いている場合、月経誘導は行わず、体重回復が期待できる生活指導や専門医によるカウンセリングを勧める。
  1. 未婚女性の無月経で、第1度無月経の場合には、プロゲスチン療法やクロミフェン療法が適応される。第2度無月経の場合は、エストロゲン・プロゲスチン療法を行う。無排卵性不妊症で第1度無月経の場合にはクロミフェン療法が第1選択となる。クロミフェン無効例や第2度無月経の場合にはゴナドトロピン療法を行う。
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時無月経を評価するための検査例
  1. 低ゴナドトロピン性無月経であることを確認する。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2017に基づき、ホルムストルム療法を「プロゲスチン療法」へ、カウフマン療法を「エストロゲン・プロゲスチン療法」へ用語の変更を行った。
  1. ICD11の改定の基づき、神経性食欲不振症を「神経性無食欲症」へ用語の変更を行った。


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