炭疽 :トップ    
監修: 細川直登 亀田総合病院
古宮伸洋 日本赤十字社和歌山医療センター

概要

疾患のポイント:
  1. 炭疽とは炭疽菌による感染症であり、汚染した哺乳類の摂食や皮革への曝露によって感染する疾患である。
  1. 人為的な感染例として、米国でのバイオテロリズム例、欧州での汚染ヘロインを介した集団発生例なども報告されている。1995年以後は、国内発生の報告はない。
  1. 感染経路によって皮膚炭疽、吸入炭疽、消化管炭疽の3病型に分けられる。
  1. バイオテロリズムの可能性を検討する必要があること、一般医療機関では同定検査が困難なことから、疑った場合は速やかに保健所などの行政機関に相談をする。
  1. ヒト-ヒト感染の報告はなく、特別な隔離予防策の必要はない。
  1. 炭疽は、感染症法の4類感染症に分類され、診断した医師は、ただちに最寄の保健所に届け出る必要がある。
 
診断: >詳細情報  (吸入炭疽のスクリーニングアルゴリズム:アルゴリズム
  1. 確定診断は病原体の同定、あるいは血清抗体検査にて行う。
  1. 病原体同定は培養検査、あるいはPCR検査にて行うが、同定は保健所、地方衛生研究所などに依頼する。
  1. 皮膚炭疽(皮膚生検)、消化管炭疽(咽頭培養・腹部画像検査)、吸入炭疽(胸部画像検査)など、感染部位にて確定診断方法が異なる。 >詳細情報 
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 皮膚炭疽以外は急速に重症化する致死率の高い疾患であるため、速やかに抗菌薬治療を開始する必要がある。
  1. 死亡率は、吸入炭疽で40~90%以上、消化管炭疽では40%以下、皮膚炭疽1%程度とされる。
  1. 吸入炭疽は診断が2~4.8日に遅れると死亡率は2倍になると報告されている

治療: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 治療として抗菌薬の投与、外科的治療、補助的治療、ワクチンの投与などが存在する。
  1. 抗菌薬治療
  1. 曝露後予防、治療ともに、シプロフロキサシン(シプロキサン)とドキシサイクリン(ビブラマイシン)が第1選択薬である。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断確定のための細菌学的検査
  1. 炭疽の確定診断は病原体の同定、あるいは血清抗体検査にて行う。
  1. 病原体同定は培養検査、あるいはPCR検査にて行うが、バイオセーフティレベル3に分類されており、一般医療施設での取り扱い、同定は困難であるので、保健所、地方衛生研究所などに依頼する。
  1. グラム染色でグラム陽性桿菌が確認できれば診断の参考になる。<図表>
○ 病態に合わせ、1)の検査を行う。皮膚炭疽を疑うケースでは2)の検査を追加して行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

吸入炭疽のスクリーニングアルゴリズム
炭疽菌のグラム染色像
著者校正済:2016/06/10
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