肘頭滑液包炎 :トップ    
監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター
高瀬勝己 東京医科大学 整形外科

概要

疾患のポイント:
  1. 肘頭滑液包炎とは、肘頭の皮下にある関節滑液包が機械的刺激や感染によって炎症を生じて痛みと腫れを生じることである。
  1. 一般的に、臨床上よく遭遇する肘関節周囲の滑液包に発生する障害は肘頭皮下包であり、肘頭滑液包炎としてよく知られている。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 肘関節周囲に腫脹感がある場合、肘頭滑液包炎に由来するものか、軟部腫瘍によるものか、関節内に由来するものかを鑑別に挙げる。
  1. 問診、特徴的な臨床所見、腫脹部の穿刺により診断できる。鑑別には、腫脹部の性状(可動性の有無、波動の有無、疼痛の有無)の把握が最も重要である。通常の反復刺激により発生した非感染性肘頭滑液包炎は、肘頭皮下に限局した無痛性で半球状の腫脹を認め、多くは波動を触知する。30~60歳の中・高年齢層に発症しやすい。
  1. 超音波検査(エコー検査)で腫脹部が嚢腫性病変か腫瘍性病変か確認することができる。腫脹部が充実性腫瘍を疑わせる場合、安易な穿刺は施行せずにMRIなどの検査を行う。
  1. 非感染性と感染性の鑑別を行うことが重要である。通常、細菌感染所見が加われば疼痛あるいは熱感等の局所炎症症状が高度となり、日常生活動作に強い障害をきたす。
  1. また、非感染性肘頭滑液包炎では、穿刺液は一般的には黄色漿液性である、結晶誘発性滑液包炎が疑われる場合は、穿刺液の顕微鏡検査が必要となる。感染性(化膿性)滑液包炎では、穿刺液は粘稠性が増した混濁性か膿様で、穿刺液の培養検査により起炎菌を確定できる場合がある。
  1. 非感染性滑液包炎の写真:<図表>
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 感染性滑液包炎は予後不良が多いが、糖尿病合併例はさらなる不良因子となり得る。
  1. 非感染性肘頭滑液包炎では、保存的治療に反応し、予後良好なことが多い。
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 保存治療:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例、保存療法例
  1. 感染性滑液包炎を疑う場合、血液生化学検査を行い、穿刺後は抗菌薬投与を行う。
○ 臨床所見より感染性滑液包炎を疑うときは穿刺液の培養、3)~6)のチェックを行う。穿刺後は7)を投与する。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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肘頭滑液包炎
著者校正/監修レビュー済
2016/06/10