今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高瀬勝己 東京医科大学 整形外科

監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター

著者校正/監修レビュー済:2021/12/08
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、一部加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. 局所に発赤あるいは熱感を呈した場合は、穿刺液の細菌培養検査が推奨される。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 関節を構成する関節包は、外層の線維膜と内層の滑膜の2層からなっている。特に大関節では、滑膜が線維膜を通して外方に突出し滑液を含む包(関節滑液包)をつくることがあるが、関節腔内と必ずしも通じているとは限らない。
  1. 関節滑液包は筋あるいは腱の下に存在し、機能的には可動部分の間の摩擦を最小限にして運動を滑らかにする役割を担っている。
  1. 肘頭周囲に存在する滑液包には特殊性があり、深在性と浅在性の2種類が存在する。前者の深在性は上腕三頭筋が肘頭の付着部に存在する肘頭腱内包と上腕三頭筋腱下包であり、後者の浅在性は皮下に存在する肘頭皮下包である。特に、この肘頭滑液包は生下時には存在せず、学童期に机に肘をつくようになる頃より出現し加齢とともに大きくなると報告されている[1]
肘関節の解剖

出典

著者提供
 
  1. 一般的に、臨床上よく遭遇する肘関節周囲の滑液包に発生する障害は肘頭皮下包であり、肘頭滑液包炎としてよく知られている。特に、通常の反復刺激により発生した非感染性肘頭滑液包炎は、肘頭皮下に限局した無痛性で半球状の腫脹を認め、多くは波動を触知する。30~60歳の中・高年齢層に発症しやすい。
  1. 60%以上は非感染性の滑液包炎が占める。
  1. 特に、肘頭部に繰り返す機械的刺激が加わる職業(古くは畳職人)に多いとされる。
  1. 外傷、感染、痛風、関節リウマチ、透析患者に続発することもある。
  1. 細菌感染所見が加われば疼痛あるいは熱感等の局所炎症症状が高度となり、日常生活動作に強い障害をきたす。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 発症機転を確認する。特に、職業あるいは日常生活における肘つき動作の頻度を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高瀬勝己 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:落合直之 : 未申告[2024年]

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肘頭滑液包炎

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