今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中川種史 医療法人社団中川整形外科

監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター

著者校正/監修レビュー済:2021/12/22
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 整復方法の問題を加筆・修正した。
  1. 整復後、症状が継続する場合の問題を加筆・修正した。 
  1. 発生機序の問題を加筆・修正した。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肘内障とは、年少の小児が手を引かれたり、ひねったりした際上肢をだらりとして痛がって動かさない状態をいう。
  1. 小児においては、肘は骨性に完成しておらず、ほとんどの部分は軟骨である。
  1. 橈骨と尺骨は輪状靱帯において制動されていることにより回内、回外の動作が行われているが、その固定力が不十分であるため、輪状靱帯が近位にまくれてしまうことや滑膜のひだが関節にはまりこむことなどで、橈骨が尺骨に対して回内位で固定してしまうことが症状の原因と考えられている。
 
肘内障の病態

輪状靱帯が近位にまくれてしまうことや滑膜のひだが関節にはまりこむことなどで、橈骨が尺骨に対して回内位で固定してしまうことが本症の原因と考えられている。

 
  1. 多くの症例においては、親、家族、その他の年長者が手を引っ張ったという話が聴取されるが、しばしばよくわからない原因によって、小児が腕を動かさず泣いていることもある。(図<図表>
 
整復前の状態

出典

著者提供
 
  1. 2、3歳での発生が多く、7歳以上はほとんどない。女児に多く、左右では左が多い[1]
  1. 整復は回外して屈曲することが従前より一般的であるが、回内での屈曲を勧める論文もある[1][2][3][4]
  1. 多くの場合、整復は容易で、整復が成功した場合は泣き止み、上肢の使用を開始することが多い。
  1. しかし、しばらく泣き止まない場合もしばしばであり、様子をみる必要がある。
 
  1. 肘内障はどのようになっているか(参考文献:[1] [5]
  1. 輪状靱帯という橈骨頭を支えている靱帯が図のように上方にずれて、橈骨頭が固定されているとされている。(<図表>
  1. ほとんどの症例では手術にならないので、明確な所見が知られているわけではない。
  1. 超音波所見では、関節内に輪状靱帯がはまりこんでいる所見や、輪状靱帯が前に折り返されている所見(pulled elbow sign)などが指摘されている。
問診・診察のポイント  
 
  1. 両親より症状を聴取する。小児が肘のみならず肩や手を痛がるということを親が訴えるときにも疑うべきである。発生原因についても聴取するが、親、兄弟あるいは保育士などが手を引っ張るようなアクシデントがあれば強く疑う。転倒などの先行外傷を聴取することもある。その際は骨折の存在も疑う。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中川種史 : 未申告[2024年]
監修:落合直之 : 未申告[2024年]

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肘内障

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