腰部脊柱管狭窄症 :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
橋爪洋 吉田宗人 和歌山県立医科大学 整形外科学教室

概要

疾患のポイント:
  1. 腰部脊柱管狭窄症とは神経の通路である脊柱管や椎間孔が狭小化することで、特有の症状(立位の継続や歩行により出現あるいは増悪する殿部下肢の疼痛や痺れ、会陰部症状)を呈する症候群である。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 高齢で殿部下肢痛/しびれを主訴とする患者が受診したら本症を疑い、立位・歩行の継続による症状増悪の有無、体幹前屈による症状軽減の有無について確認する。患者は、歩いていると足がしびれる」「自転車なら幾らでもこげる」「ショッピングカートを押して歩くのは楽」などと訴える。
  1. 診察では、Kempテスト※、Straight-leg raising (SLR)テスト※、下肢腱反射、下肢徒手筋力テストなどを評価する。Kempテスト陽性で、SLRテスト陰性の時に本疾患の可能性が高くなる。
  1. 日本脊椎脊髄病学会の診断サポートツール( エビデンス )※は腰部脊柱管狭窄症のスクリーニングに有用である(感度92.8%、特異度72.0%)
  1. 臨床症状と画像(MRI)所見の一致により確定診断する。
  1. ※Kempテスト( エビデンス ):検者は患者の背側に立ち、片手を患者の一方の肩に置いて体幹を左または右の後側方に引く。患者は下肢への放散痛が単に後方に伸展するよりも高度と訴える。感度、特異度は不明であるが腰部脊柱管狭窄症患者での陽性率が高い。
  1. ※Straight-leg raising (SLR)テスト<図表> :患者を背臥位とし、下肢の力を抜かせ、足関節をやや底屈位とする。この状態で下肢を伸ばしたまま、股関節を屈曲して行く。健常であれば80~90°まで挙上できる。坐骨神経痛が誘発されて挙上制限される角度を記入する。SLRテストが陽性であれば椎間板ヘルニアの可能性が高く、腰部脊柱管狭窄症の可能性は低くなる。
  1. ※腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール:<図表>
 
重症度・予後評価: 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断、保存療法
  1. 診断に最も大切なのは病歴の聴取である。診断サポートツールの活用が勧められる。
  1. ほとんどすべての患者で、単純X線(腰椎正面・側面・両斜位)、単純MRIを行う。
  1. 保存療法について長期間のエビデンスはないが、内服(リマプロスト、NSAID、Vit B12など)、選択的神経根ブロック(神経根症の患者)、生活指導、を試みる。
○ 診断では1)、2)とも必要。薬物治療は3)、4)、5)、6)のいずれかを、効果を見ながら使用。日常生活では8)、9)を指導する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

腰部脊柱管狭窄症の診断・治療アルゴリズム
腰椎部の解剖
腰部脊柱管狭窄の模式図
腰部脊柱管狭窄症の性別・年代別分布
開窓術(部分椎弓切除術、椎弓切除術)
後方経路腰椎椎体間固定術(posterior lumbar interbody fusion: PLIF)の例
Straight-leg raising (SLR)テスト
腰部脊柱管狭窄症
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05

編集部編集コンテンツ:
 
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  1. 腰椎後側方固定術の出血合併症に注意をする:
  1. 事例:80歳代男性に対して全身麻酔にて腰部脊柱管狭窄症に対しての腰椎後側方固定術施行。帰室し全覚醒した後もバイタルは安定していた。21時に訪室した際もバイタル安定していたが21時25分アラームが鳴り駆けつけるとCPA状態であり、死亡確認となった。死因は出血性ショックと考えられた。(詳細情報ページ:医療事故情報 詳細表示
 
お詫び:
  1. 以前の公開時(2013年6月3日~2014年3月5日)、筆頭執筆者である橋爪洋先生のお名前が表示されておりませんでした。
  1. 関係各位にご迷惑をお掛けしたことを謹んでお詫び申し上げますとともに、この度訂正版を改訂第2版として公開させていただきます。


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