今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 小澤浩司 東北医科薬科大学医学部整形外科学

監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室

著者校正/監修レビュー済:2024/02/21
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 最新の知見に基づき改訂を行なった。
  1. 複数箇所に若干の補足を行ったが、大きな修正はない。

概要・推奨   

  1. 馬尾腫瘍による夜間痛や持続性の疼痛、麻痺を呈しているとき、画像検査で悪性が疑われるとき、腫瘍による骨破壊が著しいとき、経過観察中腫瘍の増大が著しいときは、手術を行うことが推奨される(推奨度1)
  1. 軽微な症状を呈しているときは、保存療法で経過をみることが可能である(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 馬尾腫瘍とは、脊髄円錐部より尾側(通常第2腰椎~仙椎)に発生する硬膜内髄外腫瘍を総称したものである。
  1. 全脊髄腫瘍の約30%を占める。好発年齢は50歳でやや男性に多い。日本では人口10万人あたりの年間手術患者数は0.39人とされる[1]
  1. 発生原因は不明である。
  1. 神経鞘腫が80%あまりを占め、他に上衣腫、まれに類上皮腫、傍神経節腫、血管腫がみられる。ごくまれに悪性神経原性腫瘍や癌の硬膜内転移が報告されている。
  1. 症状は腫瘍の発生した神経根の症状と腫瘍により圧迫を受ける神経組織の症状の組み合わせで出現する。通常は運動障害より腰殿部痛、下肢の異常感覚や根性疼痛が先行する[2]。夜間痛を呈することが多い。
  1. 軽微な症状の神経鞘腫の自然経過をみると、多くの腫瘍で大きさは変わらない。少数ながら増大するものもあり、腫瘍が一定の率で増大するのではなく増大しない静止期と増大する増大期が存在するものと思われる[3]
  1. 軽微な症状を呈しているときは、保存療法で軽快することがある。手術により腫瘍を摘出すれば、疼痛、麻痺の改善は良好である。
  1. 重篤な疼痛を呈している場合は、一般的に保存療法は無効であり、手術がすすめられる。
問診・診察のポイント  
問診
  1. 症状、発症時期、その後の経過を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
小澤浩司 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:酒井昭典 : 講演料(旭化成ファーマ(株),日本臓器製薬(株),帝人ヘルスケア(株))[2024年]

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馬尾腫瘍

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