下肢症状を伴う腰痛 :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
浜西千秋 岸和田市民病院

概要

症状のポイント:
  1. 腰痛性疾患のうち下肢症状を伴うものとしては、一般的には腰髄神経根急性刺激症状(神経根炎、坐骨神経痛)あるいは圧迫性馬尾症状(馬尾周囲炎)であることが多く、前者は腰椎椎間板ヘルニア、後者は腰部脊柱管狭窄などが代表的疾患である。
  1. まれに、悪性腫瘍の脊椎転移、感染性脊椎炎、腹腔内出血などによる重篤な神経根症状や馬尾症状である可能性もあるので鑑別は重要である。

診断:(診察: >詳細情報 ・鑑別疾患 鑑別疾患 )
  1. 中腰での作業や重量物の持ち上げなど作業や姿勢に関わる誘因があり、体動により下肢痛が増悪すれば椎間板ヘルニアが強く示唆される。主に片側の急性神経根炎が症状の本態である。
  1. 高所を見上げる作業や長時間の立位や歩行といった誘因があり、体幹の前傾姿勢や坐位で下肢痛が軽快すれば腰部脊柱管狭窄症が強く示唆される。急性の馬尾周囲炎が本態であり、主に両側の下肢症状がみられる。
  1. 診断には誘発の問診と診察が非常に有用である(診察の詳細: >詳細情報 )
  1. 急性腰痛症などで発症誘因が明らかであれば検査は原則的に不要である。しかし悪性腫瘍の椎体転移などを除外するための腰部・骨盤単純X線撮影は行ったほうがよい。
  1. 下肢症状を伴っていたり、症状が進行性であったり、下肢不全麻痺など重症を疑わせる所見がある場合、血液検査、血液炎症反応検査、MRI検査などの精査が必要になる。
  1. 誘因がなく突然の発症の場合は悪性腫瘍転移による椎体の破壊、腹部動脈瘤の破裂、急性腰痛症などの可能性が考えられる。
  1. 激烈な痛みに発熱といった全身症状が加われば感染性脊椎炎の可能性を考える。
  1. 下肢症状を伴う腰痛の鑑別疾患一覧(誘因、臨床症状、MRI所見含む):アルゴリズム
 
鑑別疾患:
  1. 頻度の高い疾患 >詳細情報 
  1. 腰椎椎間板ヘルニア

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

下肢症状を伴う腰痛の評価例
  1. 頻度が高い疾患として、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどが考えられる。通常、体幹の前傾姿勢や坐位で下肢痛が軽快し、両側に症状を認める場合は、腰部脊柱管狭窄症を、体動により下肢痛が増悪し、片側に症状を認める場合は椎間板ヘルニアを疑う。また、何もしていないのに不意に「かくっ」と腰痛が来た場合は急性腰痛症を考慮する。
  1. 急性腰痛症などで発症誘因が明らかであれば検査は原則的に不要である。しかし悪性腫瘍の椎体転移などを除外するための腰部・骨盤単純X線撮影は行ったほうがよい。
  1. 下肢症状を伴っていたり、症状が進行性であったり、下肢不全麻痺など重症を疑わせる所見がある場合、血液検査、血液炎症反応検査、MRI検査などの精査が必要になる。
  1. 誘因がなく突然の発症している場合など、上記の疾患で説明ができない場合は、腰部MRI検査にてさらなる評価をする。また、体重減少や発熱を伴うなど、悪性腫瘍転移による椎体の破壊、腹腔内出血、感染性脊椎炎などの可能性を疑う場合は、炎症所見、アイソトープ検査、PET検査などの検査を検討する。
○ 腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアを疑う場合は3)にて評価をする。誘因なく突然発症であったり症状が進行性であったり、下肢不全麻痺など重症を疑わせる所見がある場合は1)2)4)を追加する。さらに、骨盤内悪性腫瘍、悪性腫瘍の椎体転移、感染性脊椎炎、腹腔内出血などを疑う場合は、必要に応じてさらに、5)6)の追加を考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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下肢症状を伴う腰痛の鑑別疾患(誘因、臨床症状、MRI所見含む)
著者校正/監修レビュー済
2016/12/28