大腿骨転子部骨折(大腿骨頚部外側骨折) :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
福田文雄 北九州総合病院 整形外科

概要

疾患のポイント:
  1. 大腿骨近位部骨折は、関節内骨折である頚部骨折と関節外骨折である転子部骨折、その中間である頚基部骨折に分類される。転子部骨折は、頚部骨折より高齢者に起こることが多い。
  1. 大腿骨近位部骨折の分類:<図表>
  1. 「高齢者が転倒し股関節痛のため歩けなくなった」というエピソードを認めた場合は、大腿骨近位部骨折を想起する。
  1. 骨粗鬆症を基盤とし転倒による低エネルギー外傷の結果として起こる。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診察上は、スカルパ三角(鼠径部大腿動脈付近)より外側である大転子部に圧痛を認めることが特徴である。また、自動下肢伸展挙上(SLR)を行うことができない。
  1. X線撮影(両股関節正面像と患側軸写像)を行い骨折の確認をすることで診断となる(正診率は96.7%)。X線で骨折がわからない場合、MRIを行って評価をする。
  1. アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 股関節の解剖:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. X線分類として、従来、Evans分類、Jensen分類が用いられてきたが、近年はそれに加えAO分類、3D-CT分類が用いられるようになった。
  1. 予後は適切に手術し後療法を行ってもすべてが受傷前レベルには回復しない。歩行再獲得率は55~90%である。
  1. また、誤嚥性肺炎や肺塞栓症による死亡など生命予後に影響を及ぼす骨折である。
  1. AO分類:…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断・治療
  1. すべての患者で単純X線(両股関節正面・軸写)を行う。
  1. 骨折が不明な場合MRI撮影を行う。
  1. 手術戦略として骨片転位評価のため3D-CT撮影を行う。
  1. ほとんどの症例で手術が必要となり術前検査を行う。
○ 1)~8)の検査は必ず行う。必要に応じて9)も追加する。

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  • 大腿骨転子部骨折(大腿骨頚部外側骨折)に関する評価・治療例(詳細) (1件)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

アルゴリズム
大腿骨近位部骨折の分類
股関節の解剖
自動下肢伸展挙上(SLR)
不顕性骨折MRI画像
AO分類
中野の3D-CTによる骨折型分類
不安定型骨折の正面像
著者校正/監修レビュー済
2017/01/20

編集部編集コンテンツ:
 
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