蛇咬傷 :トップ    
監修: 箕輪良行 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問
高良剛ロベルト 沖縄県立中部病院 救命救急科

概要

疾患のポイント:
  1. 蛇咬傷とは、蛇による咬傷で、日本国内ではマムシ、ヤマカガシ、ハブによる咬傷が主である。いずれも出血毒に分類される。
  1. 年間1,000人以上が咬傷被害に遭い、そのうち約1%の方が死亡すると推定される。
  1. マムシ、ハブ咬傷は受傷直後から疼痛、腫脹が認められる。
  1. 受傷部位の腫脹の疼痛を、経時的に計測して観察する。
  1. 腫脹が進行するとコンパートメント症候群を起こす危険性がある。

診断: >詳細情報 
  1. 病歴により診断する。
  1. 加害生物である蛇を目撃している場合、牙痕を確認できる場合や蛇咬傷に矛盾しない疼痛や腫脹を認める場合、蛇咬傷後に出血傾向などを認めた場合に診断となる。
  1. 琉球列島以北ではほとんどがマムシ咬傷であり、ヤマカガシ咬傷も散見される。琉球列島ではほとんどがハブ咬傷であるが、無毒の蛇咬傷もある。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 意識障害、呼吸、血圧の異常、アナフィラキシー症状、ショック症状があれば、重症としてただちに処置を行う。
  1. マムシ咬傷の場合、「マムシ咬傷のグレード分類」を参考に処置を考慮する。
  1. マムシ咬傷のGrade分類アルゴリズム
 
治療:
  1. まず全身状態(意識、呼吸、循環)の評価と管理を素早く行い、続いて組織の阻血、壊死などとともに、コンパートメント症候群、横紋筋融解や脱水、急性腎不全に注意する。
  1. アナフィラキシーの徴候があれば、まずアドレナリンの筋注等加療を行なう。
  1. 腫脹が高度、あるいは進行する場合は遅滞なく抗毒素血清を使用する
  1. ヤマカガシによる咬傷では疼痛や腫脹はほとんど認められず、時間をおいて、全身の出血傾向(マムシ咬傷分類のGrade V相当)、播種性血管内凝固症候群(DIC)が出現する。出血傾向が出現する場合は抗毒素血清の使用を考慮する
  1. 咬傷部位の切開、吸引は毒を回収できるというエビデンスが乏しく、神経などの損傷の恐れもあるため推奨されない。
  1. 毒蛇咬傷の初診時のアルゴリズム

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の対応と処置
  1. バイタルサインの確認と呼吸、循環の評価をする
  1. 咬傷部位の腫脹・疼痛の程度を確認する
  1. 経時的に腫脹・疼痛の進行を観察する
  1. 毒蛇咬傷であり抗毒素血清の適応があれば、時期を逸せず適切に使用する

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

毒蛇咬傷の初診時のアルゴリズム
マムシ咬傷のGrade分類
著者校正/監修レビュー済
2016/09/02