被虐待児症候群(child abuse) :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
市川光太郎 北九州市立八幡病院 小児救急センター

概要

ポイント:
  1. 被虐待児症候群は身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待の4型に分類されるが、お互いにリンクしていることが多く、その重症度で分類報告されている。
  1. 虐待を受けることにより、身体的発育の遅延、知的発達の障害(知的障害の発現)、心理・精神的発達の障害が起こり、いわゆる発達障害として年長児になり、問題行動を起こしやすいことが知られている。
  1. 早期発見し、安全な養育環境で育て、かつ守ってくれる大人がいることをわからせることが発達障害を軽症化する唯一の手段である。
  1. 虐待による頭部外傷の場合、医療機関受診の主訴は、頭部外傷そのものではなく、けいれんや呼吸障害、眼の焦点が合わないなど不定愁訴がほとんどである。重篤な症例もあるが、軽症例では看過しやすい一面もあるので、保護者の言動には十分気をつける。過剰診断・検査が必要になることも少なくない。
  1. 虐待症例の看過防止には常に保護者の説明を疑ってかかる必要があるが、診察室で医師単独で疑うのは限度があり、看護師を含めた全職員での多角的視点で親子の言動を見守り、総合的な判断が必要である。
  1. 児童虐待の診断対応アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 児童虐待チェックリスト:アルゴリズム
 
被虐待児の特徴: >詳細情報 
  1. 低身長、発育不全、知的障害や発達障害を認めたり、身体や衣類などが汚く、季節感のない衣類を着用している、おもちゃなどを持たない、知的障害、発達障害などの精神・心理・情動障害を有するなどの特徴を持つ。
 
虐待する保護者の特徴: >詳細情報 
  1. 望まぬ妊娠・出産が多く、子どもの出生を喜んでいない、母子手帳の非所有や妊婦健診・乳児健診歴がない場合や、子どもの発達に非現実的期待を有していたり、子どもの人格を無視して自分の考えを強要する場合などがある。
 
身体的虐待: >詳細情報 
  1. 身体的虐待とは、外傷の残る暴行または生命の危険のある暴行である。結果として、患児には、打撲傷・あざ・骨折・頭部外傷・刺し傷・火傷などが残ることになる。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

虐待のリスク因子の聴取
  1. 虐待のリスク因子が決まっているので、その因子を有していないか、必ず聴取しておくことが重要となる。
  1. 児童虐待のハイリスク因子
  1. 妊娠
  1. 望まぬ妊娠
  1. 望まぬ出産
  1. 児の因子
  1. 多胎で特に双生児間の差が大きい場合
  1. 先天異常、低出生体重児など集中医療が必要な状態での出生
  1. 児が精神発達遅滞を伴った場合
  1. 長い家庭外養育から家庭に戻ったとき
  1. 親の因子
  1. 親が精神疾患、アルコール中毒、薬物中毒を伴う場合
  1. 親が知的障害を有している場合
  1. 親の気質が異様に暴力的であったり、反社会的気質が強い場合
  1. 親の育児知識や育児姿勢に問題がある場合(親としての自覚欠如、未熟性を含む)
  1. 家庭の因子
  1. 孤立家庭(外国籍の家庭、実家・他人との対人関係拒否を含む)
  1. 病人や寝たきり老人などを抱えて、育児過多・負担増の場合
  1. 経済的に不安定な家庭・夫婦仲がきわめて悪い家庭
  1. 子どもが入籍していない場合
  1. 反社会的な親の家庭(刑務所入所中などを含めて)
  1. 国際結婚など日本社会に溶け込めない片親がいる場合
○ 虐待を疑ったら必ず家庭・家族環境を聴取する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

児童虐待の診断対応アルゴリズム
身体的虐待の診断アルゴリズム
ネグレクトによる成長障害(failure to thrive、FTT)の診断アルゴリズム
AHT/SBSの診断アルゴリズム
児童虐待チェックリスト
身体的虐待
身体的虐待
身体的虐待
身体的虐待
AHT/SBSに多い眼底出血
著者校正/監修レビュー済
2016/05/27


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