肉離れ :トップ    
監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター
奥脇透 国立スポーツ科学センター

概要

疾患のポイント:
  1. 肉離れとは、スポーツ動作中に、拮抗筋の収縮や介達外力によって生じる、筋の過伸展損傷である。
  1. 典型的には、羽状筋の筋腱(膜)移行部が遠心性収縮により損傷し、重症例では腱や付着部が損傷する(広義には腱断裂や付着部裂離損傷も含む)。
  1. 直達外力による筋打撲傷とは異なる病態であり、ハムストリングス、下腿三頭筋、大腿四頭筋および内転筋群など、下肢の筋に起こりやすい[1]。
 
診断:
  1. 受傷機転と症状から診断は容易である。自覚症状は、鋭い、力の抜けるような痛みであり、重症例では、衝撃感を伴い、歩行や座位が困難となる。圧痛、腫脹、硬結および陥凹などは、損傷の程度の指標となるが、とくにストレッチ痛は重症度の把握に有用であり、治癒過程の指標ともなる。
  1. 補助診断として、超音波検査やMRIが有用である。MRIによる重症度分類は以下のとおりである。軽症型と中等症型が多く、重症型は数%とまれである。
  1. MRIによる重症度分類:
  1. 軽症型:出血所見のみ
  1. 中等症型:筋腱移行部(とくに腱膜)損傷
  1. 重症型:筋腱(付着部)断裂
 
治療:
  1. ほとんどの肉離れは保存的治療でスポーツ復帰が可能であるが、重症型では手術適応となることがある。治療のポイントは、重症度の把握、受傷原因への対策、それに段階的リハビリテーションである。
  1. 軽症型:
  1. ストレッチ痛はあっても軽度で、早期(翌日以降)からリハビリテーションを開始できる。
  1. 多くは2週間以内にスポーツ復帰が可能である。
  1. 中等症型:
  1. ストレッチ痛が明らかであり、早急に画像診断にて重症度を確認する。
  1. 歩行時痛が明らかであれば応急処置後に松葉杖の使用などで免荷を行う。
  1. 疼痛軽減後より温熱療法を開始し、平均的には2週後にはストレッチ感覚(筋が伸ばされる感じ)が出現し、3週前後で軽いランニング動作が可能となる。スポーツ復帰には平均6週を要する。
  1. 重症型:
  1. 衝撃感を伴う強い痛みが特徴で、画像診断で腱断裂や付着部からの裂離損傷を認めた場合には、スポーツ種目やレベルを考慮しながら手術療法も検討する。
  1. 重症例は腱断裂と同様の経過をたどり、保存療法ではスポーツ復帰に6カ月以上を要する。

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リファレンス

img  1:  奥脇透:トップアスリートにおける肉離れの実態.日本臨床スポーツ医学会誌,17,497-505,2009
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者校正/監修レビュー済
2017/03/31