赤痢菌性胃腸炎 :トップ    
監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター
荒岡秀樹 虎の門病院 臨床感染症部

概要

疾患のポイント:
  1. 赤痢菌性胃腸炎とは、赤痢菌の感染により、発熱、水様性下痢、テネスムスや膿粘血便などの症状を来す疾患である。
  1. 初期症状は発熱、水様性下痢、倦怠感、食欲不振、嘔吐などであり、その後テネスムス、急激な腹痛を伴う少量の膿粘血便に移行するのが特徴である。
  1. 海外渡航歴を確認する。ただし、国内感染例もあることに注意する。
  1. 潜伏期は1~7日、平均は3日である。
  1. 赤痢菌性胃腸炎は、感染症法第三類の全数把握対象疾患であり、ただちに保健所へ報告する義務がある。また、学校保健安全法では、第三種その他の感染症に含まれ「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止。」となっている。また、食品衛生法では、食中毒(疑い例を含む)を診断、またはその死体を検案した場合は、ただちに最寄りの保健所に届出を行うこととなっている。
 
診断: >詳細情報 
  1. テネスムスや膿粘血便などが、赤痢菌性胃腸炎を疑う所見であるが、便培養なしに診断することは困難である。
  1. 診断は、便培養で、赤痢菌を同定することにより診断する。その際に、薬剤感受性を必ず確認する。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 脱水が高度な場合、重篤な合併症(中毒性巨大結腸、腸穿孔などの腸管合併症、および溶血性尿毒素症候群)を認める場合は重症である。
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療は、脱水の補正と抗菌薬の投与である。
  1. 脱水の補正は、通常、経口摂取を敢行する。脱水が高度で経口摂取不可能な症例に対しては、補液を行う。
  1. 抗菌薬に関しては、原則、全例抗菌薬治療の適応である。フルオロキノロンの3~5日間内服治療が推奨される。 エビデンス   エビデンス   

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. テネスムスや膿粘血便などが、赤痢菌性胃腸炎を疑う所見であるが、便培養なしに診断することは困難である。
  1. 診断は、便培養で、赤痢菌を同定することにより診断する。その際に、薬剤感受性を必ず確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

赤痢菌性胃腸炎の診断・治療手順
著者校正/監修レビュー済
2018/05/10

改訂のポイント
  1. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015 腸管感染症 一般社団法人日本感染症学会,公益社団法人日本化学療法学会, JAID/JSC 感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会, 腸管感染症ワーキンググループ
(英文:Japanese Association for Infectious Disease/Japanese Society of Chemotherapy; JAID/JSC Guide to Clinical Management of Infectious Disease/Guideline-preparing Committee; Intestinal Infections Working Group (WG), Ohnishi K, Ainoda Y, Imamura A, Iwabuchi S, Okuda M, Nakano T. JAID/JSC Guidelines for Infection Treatment 2015-Intestinal infections. J Infect Chemother. 2018 Jan;24(1):1-17. )
  1. Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile Infection in Adults and Children: 2017 Update by the Infectious Diseases Society of America (IDSA) and Society for Healthcare Epidemiology of America (SHEA). PMID: 29462280. Clin Infect Dis. 2018 Mar 19;66(7):e1-e48.
に基づき、確認を行い、記載の小改訂を行った(大きな変更点なし)。