腸結核 :トップ    
監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター
横田恭子 香川県立中央病院 感染症科

概要

疾患のポイント:
  1. 腸結核とは、結核が腸に感染し腹部症状を来す疾患である。症状は、慢性に継続するはっきりとしない腹痛が最も多く、80~90%で認められる。そのほか、発熱、全身倦怠感、体重減少、寝汗などの症状がみられることもある
  1. 腸結核は、まれな肺外結核の1つであるが、結核に対するリスク(結核の既往、結核患者への曝露、免疫抑制状態、悪性疾患など)のある患者が長期間持続する腹部症状を訴えた場合には、積極的に疑い、精査を施行する必要がある。 エビデンス 
  1. 結核は感染症法により二類感染症に分類され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある。また、学校保健安全法では第二種感染症に指定されており、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止」と定められている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 大腸内視鏡検査にて多発潰瘍、潰瘍化した集塊、無茎性ポリープ、小憩室を認め、大腸内視鏡下の生検にて乾酪性肉芽腫を認めることや結核菌培養が陽性になることで診断される。生検標本のPCRによる結核菌DNAの検出は、迅速で最も感度が高い。39人の検討で64%で陽性との報告がある(Am J Gastroenterol. 2002. 97(6):1446-51)。なお、腸結核は回盲部が好発部位であり、75%の患者で回盲部に病変が出現する。10~25%の患者で右下腹部に腫瘤性病変を認めるため、特に注意深く診察を行う。
  1. 鑑別として、クローン病などの自己免疫疾患やほかの感染性疾患(アメーバ症など)および悪性疾患が挙げられる。これらを除外して診断を確定させるためにも、下部内視鏡が施行可能な患者では内視鏡検査を行う。 エビデンス 
 
合併症の評価:
  1. 合併症として、腸閉塞、出血、瘻孔形成が起こることがある。
 
治療: >詳細情報 
  1. 診断が確定した場合には、抗結核薬にて治療を開始する。また臨床上、強く結核性腸炎が疑われる場合には、診断的治療を行うこともある。
  1. 治療は、肺結核と同様で、4剤(リ…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の検査オーダー
  1. 慢性の腹部症状を伴う全身状態不良の患者を診察した場合には、鑑別に入れる。
  1. 慢性に継続した腹部症状から穿孔を来した症例でも、鑑別に入れる。
  1. CBCは、ほかの疾患との鑑別に有用かもしれない。
  1. 腸結核が疑われる症例では腹部CTにてほかの疾患との鑑別を行う。
  1. 下部内視鏡が施行可能な症例では施行し、肉眼所見、組織所見、培養所見を含めて診断を行う。
○ 慢性の腹部症状を伴う患者を診察した場合には腸結核を鑑別にいれる。ほかの疾患との鑑別もかねて、腹部CT、血液検査を行い、可能であれば下部内視鏡で培養、組織診断を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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腸結核患者の腹部CT所見
著者校正/監修レビュー済
2018/05/10