胃切除後症候群 :トップ    
監修: 上村直実 国立国際医療研究センター 国府台病院
野村幸世 東京大学 消化管外科学

概要

疾患のポイント:
  1. 胃切除後症候群とは、胃癌などの胃切除後に起こる合併症で、食後30分以内に発症する早期胃切除後症候群と、食後2~4時間後に発症する後期胃切除後症候群がある。
  1. 胃切除(胃全摘、幽門側胃切除、噴門側胃切除、胃部分切除を含む)の既往があることが診断の前提となる。
  1. 疾患の頻度は胃切除を受けた人のなかでは高く、部分切除よりも大きく胃切除を受けた人では何らかの障害を有する場合がほとんどである。
 
診断: >詳細情報 アルゴリズム
  1. 小胃症状、ダンピング症候群、下痢、輸出脚通過障害、輸入脚症候群は、ほとんど患者の訴えのみからの診断となる。そのため、胃切除後でこのような症状があれば診断となる。
  1. 術後イレウス、内ヘルニアは患者の腹痛、嘔吐の訴えに加え、腹部X-P、腹部CTにて診断する。
  1. 逆流性食道炎、逆流性胃炎、残胃炎、残胃癌は上部消化管内視鏡にて診断する。
  1. 胆石症は無症状のことも多く、腹部超音波にて診断する。
 
治療: >詳細情報 
  1. それぞれの診断に基づき治療を行う。
  1. 食後症候群はまず、食事指導にて症状の軽減を試みる。
  1. 消化吸収障害は消化剤の投与にて改善するかを試みる。
  1. 鉄欠乏性貧血は鉄剤の経口投与にて改善すると同時に、経口鉄剤による消化器症状の出現がないかを確認する。
  1. 巨赤芽球性貧血はビタミンB12製剤の注射にて改善するかを試みる。
  1. 逆流性食道炎は残胃がある場合には、酸分泌抑制薬、消化管運動賦活薬を投与する。残胃がない場合には膵酵素阻害薬、消化管運動賦活薬を投与する。
  1. 逆流性胃炎は症状があれば、酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬を投与する。

専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 輸入脚症候群が食事療法にても改善しない場合には手術が必要である。
  1. 術後イレウス、内ヘルニアで絞扼が疑われるときは緊急に、または1週間絶食にて経過をみても改善しないときには手術が必要である。
  1. 食道まで胆汁・膵液が逆流する重症の逆流性食道炎が薬物治療にても改善しない場合に…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

腹痛があり、内ヘルニアまたはイレウスが疑われるときの検査例
  1. 絞扼の有無の判断が最重要課題である。
  1. 緊急手術の必要性ないしは重篤度を知るために、下記の検査がすべて必要である。
○ 絞扼の有無の診断には腹部造影CTが必須である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

胃切除後症候群診断のアルゴリズム
胃切除後イレウスの腹部立位X−P
イレウスの腹部造影CT
残胃炎の内視鏡像
残胃癌の内視鏡像
胆汁逆流を伴った胃内容物停滞の上部消化管内視鏡像
残胃炎の内視鏡像
著者校正/監修レビュー済
2016/04/22


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