遊走腎 :トップ    
監修: 中川昌之 鹿児島大学
井崎博文1) 金山博臣2) 1)徳島県立中央病院泌尿器科 2)徳島大学 医学科器官病態修復医学講座...

概要

疾患のポイント:
  1. 遊走腎とは、臥位では正常な位置にある腎臓が、立位で2椎体以上または5cm以上下降する状態である。
  1. 立位歩行や荷重負荷により側腹部痛や背部痛が持続または増悪する患者では本症を疑う。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. ほとんどは無症候性であるが、10~20%の患者の立位負荷で症状を呈する。側腹部痛や背部痛を認め、時に悪心嘔吐などの消化器症状を伴う。また、無症候性であっても顕微鏡的血尿や蛋白尿など尿所見に異常を認めることがある。
  1. 症状は、臥位や坐位で改善することがこれらの診察のポイントである。
  1. 排泄性尿路造影(IVP)で立位での腎の位置が臥位に比較して2椎体あるいは5cm以上下降していることを確認する。立位でのみ水腎症を呈すれば側腹部痛の原因と考えてよい。立位歩行や荷重負荷により側腹部痛や背部痛が持続または増悪する患者で、超音波検査で腎の可動性が強く、坐位検査で水腎症を認めたり、疼痛から遊走腎が疑われる場合は泌尿器科専門医に紹介する。
  1. 遊走腎症例の排泄性尿路造影(a:臥位、b:立位):<図表>
 
重症度:
  1. 重症度により3グループに分けられる。
  1. 重症度1:症状がなく治療の必要のない腎下垂。
  1. 重症度2:症状はあるが、腎機能に変化がなく、水腎症もない。
  1. 重症度3:症状があり、立位で腎血流量などの機能低下や水腎症がみられる。
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 神経質な症例が多いため、遊走腎は重篤な疾患ではなく、腎や尿管に器質的な障害を生じることはまれであることを説明する。
  1. 腎の可動性を減少させるため、腎周囲脂肪組織を増加させる肥満療法や腹筋や背筋の筋力強化の運動療法を指導する。
  1. 一般的に重症度3が手術適応である。また、立位で腎血流量などの機能低下や水腎症がみられる遊走腎で、初期治療を行っても症状の改善がないときや腎盂尿管移行部狭窄症・腎性高血圧を合併する症例のときは難治例として腎固定術を施行する。(手術の詳細: …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の評価例
  1. 立位歩行や荷重負荷により側腹部痛や背部痛が持続または増悪する患者では、血液検査、検尿沈渣および腎超音波検査を行う。
○ 立位負荷で悪化する側腹部痛または血尿の場合、下記の検査を行う。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

遊走腎アルゴリズム
遊走腎症例の排泄性尿路造影(a:臥位、b:立位)
両側腹腔鏡下腎固定術後の排泄性尿路造影(a:臥位、b:立位)
著者校正/監修レビュー済
2016/06/30


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