心膜炎 :トップ    
監修: 永井良三 自治医科大学
朝倉正紀 兵庫医科大学 循環器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 心膜炎は、心臓を包む嚢である心膜に急性もしくは慢性に起こる、炎症性もしくは感染性疾患である。
  1. なお、心膜炎は再発をすることが知られており、心膜炎の既往のある患者で、浮腫や肝腫大が出現した場合には、収縮性心膜炎の存在を精査する必要がある。

診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 先行するウイルス疾患の後などに、体位や呼吸により変動する胸痛を認めた場合に心膜炎を疑う。
  1. 診断はアルゴリズムに沿って行うとよい。鑑別疾患として、急性心筋梗塞、肺塞栓症、動脈解離、筋肉痛、逆流性食道炎などの疾患が挙げられ、これらの疾患を除外する。
  1. 急性心膜炎の診断の流れ:アルゴリズム
  1. 心膜炎の診断基準として、以下の基準がImazioらにより提案されている。また、一部の症例で心膜炎と心筋炎が合併することがあることが知られており、そのような状態を心膜心筋炎と呼ぶ。心膜心筋炎の診断基準も、同様にImazioらにより提案されている。
  1. 心膜炎の診断基準:
  1. 以下の4つのうち2つ以上を認める場合診断とする。
  1. 1:心膜炎に特徴的な胸痛を認める
  1. 2:心膜の摩擦音を認める
  1. 3:心膜炎を示唆する心電図変化(典型的には広範なST変化)
  1. 4:心嚢液の増加もしくは新規発症
  1. 心筋心膜炎の診断基準:
  1. 以下のうち、1,2,3を満たす場合は“心筋心膜炎の疑い”と、1,2,3,4を満たす場合は”心筋心膜炎の臨床的診断”と、生検にて心筋炎が診断された場合は“心筋心膜炎の確定診断”と評価する。
  1. 1:心膜炎の診断
  1. 2:呼吸不全、動悸、胸痛などの症状や、心電図変化(ST-T変化、上室性または心室頻拍)、新規発症の局所および全般的な収縮機能障害
  1. 3:ほかの原因の除外
  1. 4:心筋酵素上昇(CK―MB、トロポニンI、トロポニンTの上昇)、新規発症の局所および全般的な収縮機能障害 または心筋障害を示唆する画像所見(ガドリウムシンチグラフィーなどで)
  1. 心膜炎に特徴的な胸痛:
  1. 胸痛を訴え、その胸痛の程度が体位や呼吸により変動する場合、聴診で、心膜摩擦音を聴取する場合に、心膜炎を疑う。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. 診断:
  1. 聴診による心膜摩擦音の聴取、心電図のST上昇のタイプと上昇している誘導範囲、炎症の有無、心筋逸脱酵素の上昇パターン、心エコーによる左室壁運動や心嚢液のチェックを行うことにより主に心筋梗塞との鑑別を行い診断となる。
  1. 鑑別疾患の除外:
  1. 心電図にて広範囲な下に凸のST上昇を来す疾患として、急性心筋梗塞や、解離性大動脈瘤が鑑別に挙がる。それぞれ以下のような検査を行い除外する。
  1. 急性心筋梗塞:心筋逸脱酵素の上昇、心エコーやCTによる壁運度異常などを認める
  1. 解離性大動脈瘤:心エコーやCTによる解離の検索を認める
○ 心膜炎を疑った場合は、急性心筋梗塞との鑑別のため下記の1)-5)を行う。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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急性心膜炎の診断の流れ
急性心膜炎の心電図
著者校正/監修レビュー済
2017/08/31


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