無菌性髄膜炎 :トップ    
監修: 細川直登 亀田総合病院
笠原 敬 奈良県立医科大学 感染症センター

概要

疾患のポイント:
  1. 無菌性髄膜炎とは、発熱、頭痛、項部硬直や意識障害などの髄膜炎症状を認めるが、髄液培養や血液培養で肺炎球菌やインフルエンザ菌などの「細菌性髄膜炎」で一般的に検出される細菌が検出されない状態である。
  1. 無菌性髄膜炎は単一疾患ではなく、多種多様の疾患が含まれる疾患概念である。例えば感染症による無菌性髄膜炎では原因微生物としてウイルス(コクサッキーウイルスやエコーウイルス、エンテロウイルスなどのエンテロウイルス属、ムンプスウイルス、EBV、CMV、VZV、HIVなど)、抗酸菌(結核菌など)、真菌(クリプトコックスなど)、スピロヘータ(梅毒トレポネーマ、レプトスピラ、ボレリア属など)、リケッチア(ツツガムシや日本紅斑熱など)が含まれる。また非感染症の無菌性髄膜炎には、全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus、SLE)などの自己免疫性疾患に伴うもの、癌性髄膜炎、薬剤性髄膜炎などが含まれる。
  1. 狭義には上記のうち抗酸菌、真菌、スピロヘータ、リケッチアによるものや、癌性髄膜炎などは無菌性髄膜炎の定義に含めないこともある。またエンテロウイルス属による髄膜炎のみを指すこともある。
  1. 従って、無菌性髄膜炎と診断する場合は、感染症であれば原因微生物は何なのか、非感染症であれば原因疾患は何なのかを考えることが重要である。
  1. 臨床症状や病歴だけでは細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎は鑑別が困難であり、通常は髄液検査が必須である。
  1. 脳炎との鑑別も重要である。脳炎では、一般的には、意識状態の変化や運動・感覚障害、異常行動や発語障害などの脳機能の異常を伴うことが多いとされる。
  1. 無菌性髄膜炎は5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約500カ所の基幹定点から毎週報告が行われている。

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  1. ポイント:
  1. 無菌性髄膜炎は多種多様の疾患からなる複合的疾患概念であ…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

無菌性髄膜炎の診断評価例
  1. 診断はアルゴリズムに沿って行う。原則は、発熱、頭痛、項部硬直や意識障害、髄膜刺激症状を認めるなどで髄膜炎を疑った患者では髄液検査を行い、細菌性髄膜炎を除外した後で、無菌性髄膜炎の原因となる個々の疾患の評価を行う。なお評価中も、細菌性髄膜炎を疑う場合は積極的に細菌性髄膜炎の抗菌薬治療を開始する。
  1. 髄膜炎の原因診断のためのフローチャート:アルゴリズム
  1. 細菌性髄膜炎の除外の目的で、血液細菌培養検査(通常2セット)、髄液グラム染色・一般細菌培養検査を行う。通常、抗菌薬の前投与がなければ1回髄液培養検査を行い、塗抹・培養陰性で全身症状の重篤感がなければ細菌性髄膜炎を否定的と評価し、無菌性髄膜炎の可能性を考える。
  1. 頭蓋内圧亢進を念頭に置く必要がある場合は、頭部CTにて頭蓋内圧亢進を除外した後に髄液検査を行う。難治性髄膜炎の場合や他疾患を疑う場合は、造影CTや頭部MRIの評価を追加する。
○ 髄膜炎を疑う場合は、1)~20)の評価を行う。脳圧亢進を疑う場合は腰椎穿刺の前に20)を評価し脳圧亢進を除外する。難治性髄膜炎の場合や他疾患を疑う場合は21)22)を追加する。

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髄膜炎の原因診断のためのフローチャート
代表的な無菌性髄膜炎の病原体とその診断・初期治療
著者校正済:2017/03/31
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