無菌性髄膜炎

著者: 笠原 敬 奈良県立医科大学 感染症センター

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正済:2021/02/03
現在監修レビュー中

参考ガイドライン:
  1. 日本神経学会日本神経治療学会日本神経感染症学会:細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014

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概要・推奨  

  1. 無菌性髄膜炎に標準的・統一的な定義はない。広義には肺炎球菌やインフルエンザ菌などの細菌性髄膜炎の原因となる細菌が認められない髄膜炎全般を指すが、狭義にはエンテロウイルス属やムンプスウイルス、HSVやVZVなどによるウイルス性髄膜炎を指すこともある。
  1. 発熱、頭痛、嘔気・嘔吐、羞明といった症状や、項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候、Jolt accentuationなどの身体所見から総合的に髄膜炎の有無を判断する。
  1. 病歴や身体所見から髄膜炎の原因を鑑別することは困難であり、特に細菌性髄膜炎が否定できない場合は、髄液検査を行う(推奨度1)。
  1. 細菌性髄膜炎では患者の50~80%で血液培養が陽性になると報告されており、髄膜炎が疑われる患者では血液培養を行うことが強く推奨される(推奨度1)。
  1. 細菌性髄膜炎が疑われるが、速やかに腰椎穿刺が行えない場合は腰椎穿刺を待たずに血液培養採取後に抗菌薬を開始することが強く推奨される(推奨度1)。
  1. ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎の鑑別の目的で血清プロカルシトニン(PCT)を測定することはおそらく推奨される(推奨度2)。
  1. 細菌性髄膜炎の除外のために髄液中の乳酸を測定することはおそらく推奨される(推奨度2)。
  1. 無菌性髄膜炎は5類感染症で定点医療機関では届出を行う。この際、地方衛生研究所で髄液、便、咽頭拭い液などを用いた検査を行うことがあるので相談すると良い(推奨度2)。
  1. AIDS(CD4数100未満)や自己免疫疾患、免疫抑制薬の使用歴があり、クリプトコックス性髄膜炎が疑われる場合、通常の髄液検査に加え、墨汁染色、真菌培養およびクリプトコックス抗原検査を行うことが強く推奨される(推奨度1)。
  1. HSV脳炎の死亡率は高く、疑われれば速やかにアシクロビルを投与する(推奨度1)。
  1. エンテロウイルス髄膜炎の生命予後は良好であるが、頭痛の改善には7~9日間を要する。脳炎、急性灰白髄炎様症状をとる重症中枢神経感染症患者(主に小児)では、神経学的後遺症を残す可能性があり、罹患後のフォローアップが必要である(推奨度1)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、無菌性髄膜炎により特化した本文構成とした。また5類感染症として定点医療期間で届出を行う場合、状況によっては地方衛生研究所で髄液、便、咽頭拭い液などを用いたウイルス検査が行われることを追記した。

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