腸間膜動脈虚血 :トップ    
監修: 大滝純司 北海道大学大学院
山田康博 東京医療センター 総合内科

概要

疾患のポイント:
  1. 腸間膜動脈虚血とは、塞栓症・血栓症または循環血流量減少により腸管血流が阻害された状態であり、虚血性大腸炎、急性および慢性腸間膜動脈閉塞症の背景となる。
  1. 腸管脈動脈の虚血により腹痛、嘔吐、血便などの症状を来し、進行して腸管壊死が起こると汎発性腹膜炎に至る。
  1. 特異的症状がなく、診断が遅れるため死亡率が高い。したがって、他の腹腔内臓器疾患で説明のつかない、原因不明の腹痛をみたときに鑑別疾患として想起することが大事である。 エビデンス 
  1. なお、リスクファクターは高齢、動脈硬化、低心拍出力、不整脈、心血管疾患、腹腔内腫瘍である。
  1. 上腸間膜動脈塞栓症が50%、上腸間膜動脈血栓症が20%、非閉塞性虚血(Non-occlusive mesenteric ischemia、NOMI)が25%程度である。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 診断は、アルゴリズムに沿って行う。アルゴリズム
  1. 乳酸の高値は感度100%、特異度42%との報告もあり除外診断に有効な可能性がある。また、Dダイマーが正常の場合も除外診断の助けとなるかもしれない。
  1. 急性腸間膜動脈虚血は身体所見や採血所見には特異的なものがなく、確定診断のゴールドスタンダードは血管造影か試験開腹となるが、腹部造影CTやCT angiographyも選択肢となり得る。虚血部位は、上腸間膜動脈塞栓症が50%、上腸間膜動脈血栓症が20%、非閉塞性虚血(Non-occlusive mesenteric ischemia、NOMI)が25%程度である。
  1. 腸間膜動脈塞栓の治療アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 腸間膜動脈血栓の診断と治療アルゴリズム:アルゴリズム

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断を進めるための画像評価例
  1. 比較的多くの施設で施行可能な画像診断として、腹部造影CTを行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

腸管虚血の診断アルゴリズム
腸間膜動脈塞栓の治療アルゴリズム
腸間膜動脈血栓の診断と治療アルゴリズム
NOMIの診断と治療アルゴリズム
進行した急性腸間膜動脈虚血のCT像
腸間膜動脈虚血のX線像
腸間膜動脈虚血の血管造影
著者校正/監修レビュー済
2017/12/25

編集部編集コンテンツ:
 
関連する医療事故:
  1. 原因不明の腹痛の鑑別として閉塞性腸間膜虚血を挙げる:
  1. 事例:左上腹部痛および嘔吐のため救急受診。ペンタジン筋注後、腹痛改善され、帰宅となった。
帰宅後徐々に腹痛再燃し、6時間後に再度救急搬送された。この際ショック状態であり、ICUで試験開腹したところ大腸黒色壊死が確認されたため、結腸全摘術および回腸人工肛門造設術を施行したが術後早朝心肺停止となった。(詳細情報ページ:医療事故情報 詳細表示


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