せん妄 :トップ    
監修: 上島国利 昭和大学
中村純 産業医科大学 名誉教授

概要

症状のポイント:
  1. せん妄は、錯覚・幻覚(幻視)などの異常体験、精神運動興奮・不安などが加わった特殊な意識障害である。
  1. せん妄の有病率は、入院患者の10~30%、高齢者では10~40%に起こる。入院している癌患者では25%、入院しているエイズ患者では30~40%、術後患者の51% 、末期患者の約80%に臨死期にも発症するとされている。
  1. 興奮のため身体に挿入されている点滴などを抜去したり、ベッドから離れるなどの行動が起こることもある。したがって、診断を的確に行い早期の介入が必要である。
  1. せん妄のために原疾患の治療が遷延したり、事故を起こすこともある。
 
診断・症状治療:
  1. せん妄は大きく活動型せん妄と活動低下(寡動)型せん妄、その混合型に分類され、早期介入が必要なものは活動型せん妄である。 >詳細情報 
  1. 質問しても応答が明確でなく、意識障害が疑われる場合には、簡単な数字の逆唱をさせ、間違いがないか。見当識の障害がないか場所、時間を確かめる。
  1. 症状は日内変動し、朝よりも夕方のほうが悪化することが多い。夕方頃から患者が落ち着かなくなるため、たそがれ症候群ともいわれる。
  1. 妄想は体系化された妄想というよりは新奇な体系化されていない妄想が多く、幻覚も統合失調症によくみられる幻聴よりは、幻視や錯覚の訴えが多い。
  1. 症状は1日のうちでも変動するため、確定診断する情報として看護日誌や家族からの情報も参考になる。
 
非薬物療法:
  1. 他科の医師との連携:1)せん妄の基盤にある原因の同定、2)緊急性のある一般身体疾患に対して早急な介入、3)患者とほかの人々の安全性の確保、4)患者の精神医学的状態のモニターなど行う。 >詳細情報 
  1. 環境的・支持的介入:1)睡眠・覚醒のリズムを保つため、適切なレベルの環境刺激、2)感覚障害を軽減、3)見当識を助けるような環境、4)認知的-情動的な支持を提供する。 >詳細情報 
 
薬物療法:
  1. 興奮や幻覚(幻視)のために大声を出したり、幻覚に伴った活動をする場合は薬物療法を行う。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

せん妄が遷延している場合の検査
  1. 環境調整、薬物療法をしても1週間以上、せん妄状態が持続している場合は、せん妄の原因と考えられる身体疾患の程度がどのように変化しているのか、あるいは脳に新たな器質的な疾患が発症していないかを評価する。
○ 鑑別診断、合併症のリスクに基づき下記の検査を行う。可能であればCT検査も施行する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
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※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

せん妄発症の要因と治療的な介入
初期鎮静の手順
せん妄発症の原因
せん妄発症群では、手術前のNK細胞値が低く、血漿MHPG値が高い。
DRS-R-98スコアシート
著者校正/監修レビュー済
2017/05/31

編集部編集コンテンツ:
 
関連する医療事故:
  1. 術後せん妄が予測される患者はハイリスクと認識し、術後一日はモニター管理とする:
  1. 事例:高齢者のせん妄に鎮静をかけたところ心肺停止となり低酸素脳症となった。(詳細情報ページ:医療事故情報 詳細表示


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