複視 :トップ    
監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科
三村治 兵庫医科大学 眼科学教室

概要

症状のポイント:
  1. 複視とは、両眼の視線が合わなくなるために、ものがダブって見える症状である。
  1. 問診が重要であり、複視の日内変動の有無や様式から、原因疾患が神経原性、筋原性、機械的なものかを鑑別できる。日常臨床で最も多い眼運動神経麻痺では平均3カ月で約60~90%の患者の複視が消失する。
  1. しかし成人の動眼神経麻痺、小児の外転神経麻痺ではそれぞれ脳動脈瘤、脳幹膠腫の可能性があり、速やかな画像検査が必要である。

緊急時の対応: >詳細情報 
  1. 眼位が外斜(多くは外下斜)しており、片眼の内転、上転、下転ができなければ、眼瞼下垂の有無にかかわらず動眼神経麻痺であり、同側の瞳孔散大や頭痛、眼痛を伴っていれば、脳動脈瘤によるものをまず否定する必要があり、緊急に脳神経外科を受診させる必要がある。 エビデンス 
  1. 眼窩吹き抜け骨折で、冠状断画像で外眼筋(主に下直筋)が骨折部に嵌頓・絞扼されている場合には、筋肉が壊死する怖れがあり、緊急に形成外科、眼科を受診させる。
  1. 脳腫瘍などによる頭蓋内圧亢進に伴う外転神経麻痺では、うっ血乳頭を呈するため眼底検査を行い、その存在を確認すればできるだけ速やかに頭部の画像検査を実施するか脳神経外科を受診させる。 エビデンス 
  1. 準緊急の疾患としては、激しい眼窩深部痛や眼球運動時痛とともに発症する眼窩筋炎があり、早急に大量のステロイド薬静注療法を行うために眼科受診を奨める。

症状治療、診断的治療: >詳細情報 
  1. 複視を引き起こしている疾患はさまざまで、ときには眼窩先端部の真菌症(<図表>)などもあり、ステロイド薬の使用は原因がはっきりするまでは推奨されない。
  1. 眼運動神経麻痺、甲状腺眼症、重症筋無力症の眼筋型、眼窩吹き抜け骨折はそれぞれの加療を試みる。 >詳細情報 

入院の決定: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

日内変動がある複視の血液検査例
  1. 重症筋無力症、甲状腺眼症、IgG4関連眼窩症を評価する検査が推奨される。
  1. 血液一般検査(血糖、HbA1cを含む)
  1. 甲状腺関連自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体、TSHレセプター抗体)
  1. 抗アセチルコリンレセプター抗体
  1. 追加評価で行う検査として、IgG4サブクラス、IgG4 /IgG比、可溶性インターロイキン2レセプター抗体、抗MuSK抗体を考慮する。
  1. 症状・診断的治療として、テンシロンテスト、アイステスト、上方注視負荷試験、ピリドスチグミン臭化物(メスチノン)の試験内服を行う。
○ 2)と4)の検査を行う。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

複視診断フローチャート
右眼窩先端症候群(全外眼筋麻痺)
左動眼神経麻痺
左滑車神経麻痺
右外転神経麻痺
硬膜動静脈瘻による左外転神経麻痺
脱髄による外転神経核麻痺
小児脳幹膠腫
甲状腺眼症の眼窩冠状断MRI
重症筋無力症にみられた胸腺腫
著者校正/監修レビュー済
2016/09/02


詳細ナビ