今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 林孝雄 帝京大学 医療技術学部 視能矯正学科

監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科

著者校正/監修レビュー済:2022/10/26
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 斜視に対するボツリヌス療法に関するガイドライン等に基づき、複視の病態や診断、治療について解説した。

概要・推奨   

  1. 複視とは、見ている物体(対象物)が二つ以上に見える(ダブる)ことで、単眼複視と両眼複視がある。
  1. 単眼複視の原因には、乱視、多瞳孔、水晶体亜脱臼、白内障の初期、心因性などがある。
  1. 両眼複視には、左右にダブる水平複視、上下にダブる上下複視、傾いてダブって見える回旋複視の3つがある。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 複視とは、見ている物体(対象物)が二つ以上に見えることである。
  1. 複視には、単眼複視と両眼複視がある[1]
  1. 単眼複視とは、片眼のみで見たときに自覚する複視で、原因としては乱視、多瞳孔、水晶体亜脱臼、白内障の初期、心因性などが挙げられる。三つや四つに見えると訴えることもある。
  1. 両眼複視は、両眼の視線が同一の対象物に向いていなくて、その対象物がダブって二つに見えることである。
  1. 両眼複視には、左右にダブる水平複視(<図表>)、上下にダブる上下複視、傾いてダブって見える回旋複視の3つがある。
  1. 両眼複視の原因としては斜視、眼球運動異常、斜視術後の過矯正、網膜異常対応がある。
  1. 複視の発症は、急性または亜急性のものとそれ以外のものに分けられる。
  1. 緊急性を要する斜視・眼球運動障害には、脳動脈瘤、脳腫瘍、脳梗塞、眼窩骨の骨折などがある。
  1. 斜視とは、顔を正面に向けているときに、両眼の視線が同一の対象物に向いていない状態であり、そのため、正面を見ていると複視を自覚する。種類としては内斜視、外斜視、上下斜視、回旋斜視がある。
  1. 眼球運動異常とは、正面での斜視の有無に関わらず、一眼または両眼の眼球が正常に動かないために、見る方向によって両眼の視線がずれて複視を自覚するものである。
  1. 斜視術後の過矯正とは、例えば間欠性外斜視では通常複視を自覚しないことが多いが、術後に過矯正で内斜視になってしまうと、術前には自覚していなかった複視を自覚してしまうことである。
  1. 網膜異常対応とは、両眼の中心窩同士が頭の中で対応せず、一眼の中心窩と他眼の中心窩以外の網膜部位が対応していて、一つに見えている状態をいう。そのため、網膜異常対応を持った斜視の手術をして正面での眼位を揃えると、逆に複視を自覚してしまう。これを背理性複視という。例えば、内斜視の術後に眼位が揃っても、外斜視の人が自覚するような交差性複視のことである。
問診・診察のポイント  
 
  1. まず、複視の自覚がいつからあるのかを問診し、急性発症の両眼複視であれば、眼位と眼球運動障害の状態を診て、緊急性があるかどうかを判断する。特に、動脈瘤による動眼神経麻痺の場合は、患眼の眼球運動障害に散瞳を伴うことが多く、そのような場合は動脈瘤破裂などの危険があるため緊急性を要する。脳腫瘍や脳梗塞も脳神経外科と早急に連携する必要があり、眼窩骨の骨折も早期手術の適応になる場合があるため緊急性ありと判断する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
林孝雄 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:沖波聡 : 特に申告事項無し[2024年]

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