今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中澤一弘1) 竜王ファミリークリニック

著者: 前野哲博2) 筑波大学医学医療系 地域医療教育学

監修: 前野哲博 筑波大学医学医療系 地域医療教育学

著者校正/監修レビュー済:2022/12/07
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 悪液質、サルコペニアを含むやせの定義と概念を改訂した。

概要・推奨   

  1. 臨床的に問題となる体重減少を有する人は高齢者に多い。
  1. 臨床的に問題となる体重減少がみられる人の死亡率は高い。
  1. 意図せずに臨床的に問題となる体重減少が生じた人で原因が特定されるのは約80%であり、その原因として最も多いのは消化管由来の悪性腫瘍であった。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. やせはエネルギーの摂取不足や消費量の亢進で生じる。
  1. やせでも例えば肥満者での緩やかな減量は問題とはなりにくいが、急激な体重減少は重大な疾患が隠れている可能性がある。原因疾患としては、悪性腫瘍、内分泌疾患、消化器疾患、感染症、心不全、腎不全、神経疾患、非感染性炎症疾患、精神科疾患、アルコール、麻薬、覚醒剤、薬剤性と多岐にわたる。
  1. 臨床的に問題となるやせは、6~12カ月で5%以上の体重減少と定義されている。
  1. 米国での疫学的調査によると、年間5%以上の体重減少者は5%であったとの報告がある。
  1. やせの危険因子は、年齢、喫煙、健康管理不足、肥満、無歯である。
  1. 悪液質とは、脂肪の減少の有無を問わずに筋肉の量が減少することで生じる体重減少である。複合的な代謝症候群であり、背景に何らかの疾患が存在している。
  1. サルコペニアとは、筋肉の量と強度および実行力の減少を特徴とした老年症候群である。背景疾患の有無は問わない。サルコペニアは機能障害、転倒、死亡率を上昇させる[1]。原因は多因子であり、テストステロンやエストロゲンの減少[2]、インスリン抵抗性[3]、運動不足[4]、タンパク質の摂取不足[5]などがある。
 
  1. 臨床的に問題となる体重減少を有する人は高齢者に多い(O)。
  1. 1989年に米国で45歳以上の9,144人を対象とした調査では、1年前の体重と比べて、減量を意図せずに5%以上体重が減少していた人が5%存在していた[6]
  1. 65歳以上の高齢者において、5~10年間で15~20%の人に体重減少がみられた[7]
 
  1. 臨床的に問題となる体重減少がみられる人の死亡率は高い(O)。
  1. イスラエルで公的サービスに従事する40~65歳の男性10,059人を対象とした調査では、5年間にわたって5kgより多く体重が減少していた人は、体重が増減1kg以内であった人と比べて、その後の18年間で死亡率が18%上昇していた[8]
  1. 米国で50~74.9歳の5,838人を12年以上追跡した調査では、6.9%に臨床的に問題となる体重減少がみられ、追跡期間中の死亡率は24%高かった[9]
  1. 施設入所者、進行性の肺疾患患者および心不全患者で体重減少がみられると死亡率が高くなる[10][11]
 
  1. 歯が一本もない状態で、義歯を装着しないでいると体重が減少するリスクが高い(O)。
  1. 英国で70歳以上の一般住民563人を対象に1年間追跡した研究において、歯がないままにしておくことは、1年後に10%の体重減少が生じる独立したリスク因子(オッズ比2.03)であった[12]
問診・診察のポイント  
 
  1. やせの申告が間違っている可能性もあるので、まずは本当に臨床的に問題となる、6カ月間で5%の体重減少かどうかを確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中澤一弘 : 特に申告事項無し[2025年]
前野哲博 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:前野哲博 : 特に申告事項無し[2025年]

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