今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中井俊子 日本大学板橋病院循環器内科

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2021/08/11
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った。

概要・推奨   

まとめ・診察 

手技のまとめ  
  1. 高度な徐脈、心拍停止により意識消失を来す状態において、血行動態改善のために緊急にペーシングを行う必要がある。
  1. 房室ブロック、洞不全症候群になる原因としては、心筋梗塞、心サルコイドーシスなどの心筋疾患によるもの、あるいは電解質異常など、さまざまである。
  1. 緊急ペーシングを必要とする場合に、時間的に余裕がない場合には経皮的ペーシングが有効であるが、これは痛みを伴うため、鎮痛が必要である。
  1. 継続してペーシング治療が必要な場合には、経皮ペーシングを行いつつ、経静脈的一時ペーシングの挿入の準備をする。
  1. 硫酸アトロピンやβ刺激薬の投与により心拍増加が見込める場合、あるいは、徐脈であっても血行動態が保たれている場合には、経静脈的一時ペーシングの挿入を行う。
 
  1. 典型的症例:発作性房室ブロック症例(76歳、男性)
  1. 病歴:散歩に出かけようと歩き出したところ、眼前暗黒感を感じ、その後失神し救急搬送された。
  1. 診察:来院時には意識は回復しており、バイタルも安定していた。脈拍80/分、整。
  1. 診断テストとその結果:精査のため入院。心拍モニターを装着し観察していたところ、経過中に眼前暗黒感の症状に一致して発作性の房室ブロックを認め、診断がついた。
  1. 治療:緊急一時ペーシングを施行、後日、永久ペースメーカ植込み術を施行した。
  1. 転帰:軽快し退院。
  1. コメント:発作性不整脈の診断には、発作時の心電図が重要である。
  1. 心拍モニターのトレース。2段目の2拍目から、P波のみとなりQRSが脱落している。
 
心拍モニターのトレース

2段目の2拍目から、P波のみとなりQRSが脱落している。

出典

著者提供
 
問診・診察のポイント  
  1. まずは、バイタルサインのチェックを優先し、緊急性を確認する。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中井俊子 : 講演料(アボットメディカルジャパン合同会社,日本メドトロニック(株)),企業などが提供する寄付講座(バイオトロニックジャパン(株),アボットメディカルジャパン合同会社,日本メドトロニック(株),日本ライフライン(株))[2024年]
監修:今井靖 : 未申告[2024年]

ページ上部に戻る

緊急ペーシング

戻る