今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2024/11/27
参考ガイドライン:
  1. 日本皮膚科学会:接触皮膚炎ガイドライン(2020)
  1. 日本皮膚科学会:手湿疹診療ガイドライン (2018)
  1. 日本皮膚科学会:痒疹診療ガイドライン(2020)
  1. 日本皮膚科学会:皮膚瘙痒症診療ガイドライン(2020)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、下記の点を加筆・修正した。
  1. 湿疹に関わる表現をより正確に加筆・修正した。
  1. 慢性湿疹の表現を加筆した。
  1. 湿疹三角の記載を修正した。

概要・推奨   

  1. 湿疹であるか他の皮膚病変かをまず判断する。その後、原因について追求する。
  1. 湿疹の三大特徴は、かゆみ、点状状態(ポツポツ)、多様性(いろいろな要素が混在である。
  1. 湿疹は多くの疾患を含み、原因としての分類には、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎などある。

病態・疫学・診察 

湿疹のまとめ  
ポイント:
  1. 湿疹は歴然とした病名であって、一定の特徴を持った皮膚病変を指し、炎症性疾患の包括的呼び名ではない。湿疹の三大特徴は、かゆみ、点状状態、多様性である。すなわち、かゆくて、ポツポツした皮疹であるが、丘疹、鱗屑、紅斑などいろいろな要素が混じる。日常診療上、湿疹性病変は炎症性皮膚疾患のなかでは最も頻度が高い。原因としては、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎など種々ある。
 
急性湿疹:
  1. 急性湿疹は表皮の細胞間浮腫を示し、おそらく外界からの侵入物を排除しようとする自衛行為である。アレルギー機序であればT細胞由来のサイトカインにより表皮細胞間が海綿状態といわれる滲出液に溢れる状態になる。湿疹eczemaはギリシア語のekzeinに由来し、「茹で上がった」という意味を持つが、肉眼的に表皮の細胞浸潤や海綿状態により丘疹や小水疱を来す状態を表したと思われる。
  1. 通常は血管拡張も伴うので紅斑も共存し、副産物としてかゆみや発赤を惹起することが多い。
 
急性湿疹(この場合は接触皮膚炎)の典型的臨床像

紅斑とともに丘疹や小水疱がみられる。

出典

宮地良樹先生ご提供
 
慢性湿疹:
  1. 急性湿疹は典型的な「湿疹」の範疇にあるが、湿疹が慢性化すると臨床所見は大きく変容し、苔癬化と呼ばれる「ごわごわと盛り上がった」表皮肥厚、色素沈着、時には色素脱失などを伴うようになる。
 
慢性湿疹(この場合は慢性光接触皮膚炎)の臨床像

表皮は肥厚し、乾燥して隆起し、慢性湿疹の特徴を示す。しかしわずかに滲出液や痂皮もみられ急性湿疹の面影を残している。

出典

宮地良樹先生ご提供

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

ページ上部に戻る

湿疹のみかた

戻る