今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 堀越裕歩 東京都立小児総合医療センター 感染症科、免疫科

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2022/12/21
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. 健常者、非妊婦の感染の場合、臨床診断のみで経過観察または対症療法で自然治癒する(推奨度2)
  1. 妊婦の感染の場合、胎児に影響が及ぶことがあるので産婦人科医にコンサルトする(推奨度1)
  1. 造血が亢進している溶血性貧血の基礎疾患がある場合、aplastic crisisをきたすことがあるので、バイタルの確認、血液検査を行う(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. パルボウイルスB19感染症とは、気道分泌物から飛沫感染で拡がる感染症で、他に母子で子宮内の垂直感染、非常に稀に血液製剤による感染がある。
  1. 小児では不顕性感染、伝染性紅斑(別名リンゴ病)、思春期・成人では関節炎、肝炎を発症する。
  1. 伝染性紅斑は、7~10日前に先行する感冒症状があり、両頬に紅斑が出現、そのあとに四肢に網目状紅斑を来す疾患である。体幹に網目状紅斑が出ることもある。
  1. 通常予後はよい疾患であるが、aplastic crisis、胎児水腫など重症化することがある。
  1. 通年性でみられることが多く、局地的や数年おきの流行がみられる。
  1. 小児期にほとんどの者が感染をし、ピークは5歳から9歳に多く、0歳から4歳がこれに続く。
  1. 成人期には、小児と異なり伝染性紅斑の典型像をとらないことが多く、診断が難しい。
  1. 骨髄の赤芽球前駆細胞に感染して赤血球の造血を止めるため、基礎に溶血性貧血疾患などがある場合に骨髄無形性発作(aplastic crisis)を起こしショックになることがある。日本人では遺伝性球状赤血球症が多く、未診断のこともあり、aplastic crisisを起こして診断されることもある。常染色体優性遺伝がほとんどで貧血の家族歴の聴取が参考になる。
  1. 免疫不全者で慢性貧血、妊婦で流産や胎児水腫がある。まれに心筋炎、脳炎・脳症を引き起こすことがある。
 
参考文献:[1][2]
問診・診察のポイント  
  1. 周囲での流行状況の有無、他の発疹性疾患の鑑別のため予防接種歴と罹患歴を問診する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
堀越裕歩 : 研究費・助成金など(塩野義製薬(株))[2024年]
監修:大曲貴夫 : 特に申告事項無し[2024年]

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パルボウイルスB19感染症(含む伝染性紅斑/リンゴ病)

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