今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山中一良 済生会神奈川県病院 整形外科

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2025/03/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。
  1. 前回改訂から新しいガイドラインは発表されていない。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 指の遠位指節間関節(DIP関節)が屈曲したまま、自動伸展ができなくなった状態を槌指変形と呼ぶ。
  1. 槌指の病態はDIP関節の伸展機構の損傷であり、伸筋腱の末節骨停止部の骨折による骨性槌指と、伸筋腱が断裂して生じる腱性槌指に分類される。
 
槌指変形

DIP関節は屈曲し変形を呈し、自動伸展は不能である。

出典

Roberts:Clinical Procedures in Emergency Medicine, 5th ed. Saunders, 2009(改変あり)
 
腱性槌指と骨性槌指

伸筋腱が付着部付近で断裂する腱性槌指(a)と腱の付着部が骨折する骨性槌指(b)

出典

Jesse B. Jupiter, et al. Fractures and Dislocations of the Hand. Skeletal trauma: Basic Science, Management and Reconstruction 4th ed. Saunders. 2008; p1311. FIGURE 38-128. より一部改変
 
  1. 槌指は、通常指尖部への直達外力により発生するが、腱の脆弱化した中高年では軽微な外傷により伸筋腱の皮下断裂を生じて腱性槌指となることがある。
  1. DIP背側部での開放性伸筋腱断裂でも同様の変形を生じるが、 伸筋腱損傷 として、槌指変形とは別に取り扱われることが多い。
  1. 槌指変形を放置した場合、スワン・ネック変形を生じる場合がある。
 
DIP損傷後のスワン・ネック変形(受傷後6カ月)

槌指によるDIP関節の屈曲拘縮により、指伸展機構のバランスがくずれPIP関節に過度の伸展力が加わることによりPIP関節が過伸展位となり、スワンネック変形を呈する。
A:背側から見たところ
B:掌側から見たところ

出典

Chinchalkar SJ, Lanting BA, Ross D.
Swan neck deformity after distal interphalangeal joint flexion contractures: a biomechanical analysis.
J Hand Ther. 2010 Oct-Dec;23(4):420-5. doi: 10.1016/j.jht.2009.11.005. Epub 2010 Mar 1.
Abstract/Text The relationship between the flexor and extensor systems of the digits is both intricate and balanced, such that disruption of one system can affect the entire dynamics of the finger. The imbalance may be obvious, whereas the precipitating factor may be less obvious. These authors describe a case and provide a detailed biomechanical analysis of how a flexion contracture of the distal interphalangeal joint led to a swan neck deformity in one of their patients.

Copyright © 2010 Hanley & Belfus. Published by Elsevier Inc. All rights reserved.
PMID 20189756
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 受傷時期、受傷機転を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山中一良 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共(株))[2024年]

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槌指変形

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