今日の臨床サポート

褥瘡(在宅医療)

著者: 中野一司 ナカノ在宅医療クリニック

監修: 和田忠志 いらはら診療所 在宅医療部

著者校正済:2022/08/03
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本褥瘡学会:褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)(2022年)
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 褥瘡発生の医学的要因として、①力学的要因、②栄養、③褥瘡のできる部位における身体的要因がある。
  1. 褥瘡の評価方法における重要なものとして、①NPUAP分類、②DESIGN分類、③OHスケールの3つがある。
  1. 日本褥瘡学会のガイドラインが推奨する治療内容とは異なるが、在宅での褥瘡治療においては、褥瘡と在宅での療養生活の共存、医療費削減や簡便性の観点から、ラップ療法(解放式湿潤法)がすぐれた療法である。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中野一司 : 未申告[2022年]
監修:和田忠志 : 特に申告事項無し[2022年]

改訂のポイント:
  1. 褥瘡予防・管理ガイドラインを確認のうえ、在宅において推奨される褥瘡治療について修正・加筆を行った。

病態・疫学・診察

褥瘡のできる要因およびその対応  
  1. 褥瘡が生じる要因は数多いが、ここでは在宅医療において着目すべき3つの要因、すなわち、①力学的要因、②栄養、③褥瘡のできる部位における身体的要因 について述べる。
 
①力学的要因
  1. 褥瘡の力学的要因を「圧」と「ずれ」の2つに分けて考える。この場合、「圧」は皮膚と垂直あるいはそれに近い方向での力の作用(以下この力を「圧力」と呼ぶ)、「ずれ」は、皮膚に水平あるいはそれに近い方向での力の作用である(以下この力を「ずれ力」と呼ぶ)。これらの2つの力が作用して皮膚およびその下部組織に負担を与え、創が形成される。
  1. 圧力とずれ力の発生と作用:
  1. 圧は、重力によって身体が床やマットレスなどに接するとき、身体の凸型の部分に圧が集中する性質がある。例えば、仙骨部や踵部に褥瘡ができやすいのはその部分が接地面に対して凸になっているためである。
  1. ずれは、介護を行う時に体を引きずる動作をしたり、車いすに座っているときに重力によって次第に身体が下や前にずれてきたり、ベッドをギャッジアップあるいはダウンしたときに、接地面と皮膚との間にずれ力が発生するものである。車いすに座っている人に尾骶骨に近い部分に褥瘡ができるなどが、この例である。
  1. 対応:
  1. 治療に際しては、この2つの力学的要因を除去することを目標にする必要がある。圧に対しては「体圧分散」を行う。ずれに対しては、ずれ力を除去するような操作を行う。例えば、「体圧分散」は、高性能体圧分散マットレスの使用や、隙間がないようにピローなどで創部を含めた身体の部分を支える「ポジショニング」により実現される。
  1. 体圧分散を時間軸で実現する方法として、身体の設置部分を定時的に交換していく「体位交換」があるが、在宅ケア現場においては、定時的な交換(特に夜間)は家族介護者にとって負担が重すぎるためあまり推奨されず、その目的には「高性能体圧分散マットレスの使用」が現実的である。
  1. ずれ力を除去する操作としては、ずれ力の働いている接地面と皮膚とを、一瞬でも引き離しさえすればよい。例えば、車いすでずれ力が働いているときには、(いったん腰を椅子から離して)座りなおしてもらう、でもよいし、介護者が介護グローブなどを用いて、一回身体と椅子の間に手を通すだけでもよい。患者が仰臥位臥床している場合で、ずれの力が背部や臀部に働いていると考えられるときには、「一度側臥位になってから仰臥位に戻ってもらう」「介護者が介護グローブなどを用いて、一回身体と椅子の間に手を通す」(「背抜き」)などの方法がある。
 
②栄養
  1. 栄養状態の改善は褥瘡治療においてきわめて重要である。低栄養状態にある場合は、本人の意思に沿って栄養剤(エンシュアやイノラス)などで補助的治療を行う。詳しくは、栄養管理(在宅医療)を参照されたい。栄養状態の改善により、他の環境の変化がないのに褥瘡が改善することは少なくない。
  1. また、嚥下困難のある患者においては言語聴覚士(ST)へ依頼し嚥下訓練を行う。
 
③褥瘡のできる部位における身体的要因
  1. 麻痺や感覚障害、関節拘縮、浮腫、骨突出など、様々な要因が褥瘡形成の原因となるが、特に浮腫は改善可能な要素であり、意識的な治療が望ましい。浮腫は「OHスケール」においても評価項目となっている。褥瘡ができやすい部位に留意し体位変換や体圧分散機器を用いる。
褥瘡の評価方法  
  1. 褥瘡の評価方法として、重要なものとして、①NPUAP分類、②DESIGN分類、③OHスケールについて取り上げる。
 
①NPUAP 分類(NPUAP pressure ulcer staging system)
  1. 褥瘡の深達度を表す分類の1つであり、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel;NPUAP)が1989 年に提唱したステージングシステムである。従来はステージI,II,III,IVに分類されてきた。しかし、近年は皮膚表面の損傷がなくとも深部ですでに損傷が起こっていることがあるという考え方から、deep tissue injury(DTI)という病態が追加された。これらのことから、2007年のNPUAP新分類では「深部損傷褥瘡疑い」((suspected)deep tissue injury)、ステージI,II,III,IV,さらに褥瘡の深達度IIIかIVか判断できない場合の「判定不能」(Unstageable)の6病期とした(日本褥瘡学会用語集による)。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから