今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 柴田政彦 奈良学園大学 保健医療学部

監修: 永山正雄 国際医療福祉大学医学部・成田病院 脳神経内科、集中治療部

著者校正済:2024/12/11
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ:慢性疼痛診療ガイドライン
  1. 日本整形外科学会/日本腰痛学会:腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、下記の点を加筆・修正した。
  1. 症例を1例追加した。

概要・推奨   

  1. 痛みの慢性化には、医学的・身体的要因だけでなく心理社会的要因、行動学的要因が複雑に絡み、個別性が大きい。
  1. 生物心理社会モデルに基づき、痛みの軽減だけでなく、長期的な生活の質の改善や維持に配慮した対応を行う。
  1. 個々の病態、重症度、リソース(患者側及び医療者側の)に応じて適切に情報提供、教育的サポート、運動療法、心理的アプローチ、薬物治療、神経ブロック、その他のインターベンション治療、手術などを使い分ける。

病態・疫学・診察 

イントロダクション  
  1. 非がん性慢性疼痛に含まれるものとして、慢性の腰痛、頭痛、関節の痛み、外傷や手術後に遷延する痛み、神経障害性疼痛、原因の特定が困難な痛み(線維筋痛症、舌痛症、骨盤内慢性疼痛 他)などがあり、疾患や病態、重症度(生活への影響度)は非常に幅広い。
  1. 国民生活基礎調査によると、腰痛は最も頻度の高い症状であるが、慢性腰痛の原因を特定することは困難なことが多い。
  1. 「痛み」は患者が医療機関を受診するきっかけとして頻度が高い。また、患者が医療者に「痛み」を訴える医療場面は非常に多い。「痛み」そのものは身体防御機構の一つで、身体の損傷や差し迫った危険を知らせるという重要な役割を有するが、身体の損傷が治癒し差し迫った危険がないと思われる状況でも「痛み」が続くこともある。
  1. 特に、発症から3カ月以上経過しても痛みが続く場合には、きっかけとなった原因よりむしろ、回復を妨げる要因が重要であることが多い。その要因には患者にとって修正が困難で深刻な苦しみが含まれていることも多く、医療者が患者の訴える「痛み」に対して真摯に耳を傾け、丁寧に対応する姿勢が重要である。従って、医師は痛みの原因を鑑別するだけではなく、痛みが続く要因についても配慮して適切に対処することが望ましい。
  1. 器質的原因の明らかでない痛みは、「心因性」として扱われることが多かったが、神経の損傷(帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、脊髄損傷、脳卒中後遺症としての疼痛など)、精神心理社会的要因(うつ病、認知機能障害、物質関連障害、発達障害、抑うつ、不安、怒り、不満感、破局的思考、運動恐怖、家族職場の問題、補償問題など)の関与や原因の特定できない場合もあり、個別性を重視して適切に対応することが肝要である。
定義  
  1. 慢性痛:3カ月以上持続ないし反復する痛み(ICD-11)[1]治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み(国際疼痛学会)
  1. 参考)痛みの定義:「通常、実際のまたは潜在的な組織損傷によって引き起こされる、またはそれに起因する嫌悪的な感覚的および情動的体験」

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
柴田政彦 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:永山正雄 : 特に申告事項無し[2024年]

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非がん性慢性疼痛

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