今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 鍋島正慶 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門

著者: 則末泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門

監修: 藤谷茂樹1) 聖マリアンナ医科大学 救急医学

監修: 安宅一晃2) 奈良県立病院機構 医療専門職教育研修センター/奈良県総合医療センター 集中治療部 

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
参考ガイドライン:
  1. 厚⽣労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会編:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編(改訂 平成30年3⽉)、2018:0-6.
  1. 日本集中治療医学会日本救急医学会日本循環器学会編:救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提⾔~、2014:1-4.
  1. An Official ATS/AACN/ACCP/ESICM/SCCM Policy Statement: Responding to Requests for Potentially Inappropriate Treatments in Intensive Care Units. Am J Respir Crit Care Med. 2015 Jun 1;191(11):1318-30.
  1. 日本集中治療医学会倫理委員会:DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)の考え方. 日集中医誌 2017; 24: 210-215.
  1. 日本小児科学会、倫理委員会小児終末期医療ガイドラインワーキンググループ:重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン. 2012.
  1. 宗教的輸血拒否に関する合同委員会:宗教的輸血拒否に関するガイドライン. 宗教的輸血拒否に関する合同委員会報告. 2008: 1-7.
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 治療方針の不一致があった場合、法的、倫理的、社会的な対立や医学的解釈の違いがないかを考えることが推奨される。
  1. 終末期の治療方針の決定には、共有意思決定を前提とし、主治医だけでなく医療チームによって十分な話し合いを行い、その経過を文章にまとめておくことが推奨される。
  1. 本人に意思決定能力がある場合や推定意思が確認できる場合には、本人の意向に沿った治療方針が推奨される。小児においても同様のことが推奨される。

病態・疫学・診察 

はじめに  
  1. 医療従事者-患者(家族)間、医療従事者間などで時に治療方針をめぐっての意見の不一致を抱えることがある[1][2][3]
  1. 救急・集中治療領域においては、以下のような複数の要因が生じやすく、患者(家族)、医療従事者ともに倫理的苦悩を抱えてしまうことがある。
  1. 患者の意思を確認することが難しいこと
  1. 発症が突然であり現状を受け入れる精神的余裕が失われ、また信頼関係を築く時間がないこと
  1. 診断や治療、予後に対する不確実性が多いこと
  1. 重症であるがゆえに治療方針などの決定までの時間的猶予がないこと
  1. 侵襲的治療と終末期ケアを同時に進めていかなければいけない複雑性が医療技術の進歩などにより増していること
  1. 超高齢化社会に伴う複数の基礎疾患をもつ患者が増加していること
  1. 核家族化や単独世帯の増加などで本人の事前指示や本人の意向を推定することが困難であること
  1. 生死に関わる重大な決定となるため患者(家族)が決定を下しにくいこと
  1. 倫理的苦悩はICUの医療従事者のメンタルヘルスを害す原因となり、バーンアウト症候群や医療・ケアの質の低下の一因となりうる[4][5]
医療倫理の四原則・臨床倫理の四分割表  
  1. ビーチャムとチルドレスが『生命医学倫理の諸原則』で提唱した医療倫理の四原則は、医療従事者が倫理的な問題に直面した時に、どのように解決すべきかを判断する指針となっている[6]
  1. 四原則とは、「自律Autonomy」、「善行Beneficence」、「無危害Non-maleficence」、「公正Justice」である。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
鍋島正慶 : 未申告[2024年]
則末泰博 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:藤谷茂樹 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:安宅一晃 : 未申告[2024年]

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集中治療における倫理

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