今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 柳田 紀之1) 相模原病院小児科

著者: 海老澤 元宏2) 相模原病院 臨床研究センターアレルギー性疾患研究部

監修: 上阪等 千葉西総合病院 膠原病リウマチセンター

著者校正/監修レビュー済:2022/07/06
参考ガイドライン:
  1. 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2021
  1. 食物アレルギーの診療の手引き2020
  1. 食物経口負荷試験の手引き2020
  1. 日本アレルギー学会:アナフィラキシーガイドライン
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 下記ガイドラインに基づき、記載内容を追記した。また、最新の文献を追加した。
  1. 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会. 食物アレルギー診療ガイドライン2021
  1. 食物アレルギーの診療の手引き2020
  1. 食物経口負荷試験の手引き2020

概要・推奨   

早期対応
  1. 食物アレルギーが関与するアトピー性皮膚炎に関してはまず、アトピー性皮膚炎の早期治療が重要である(推奨度2)
  1. 食物アレルギーの発症予防のため、妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果がなく、母親の栄養状態に対して有害であり、推奨されない(推奨度1)
  1. どのようにして乳児早期に離乳食を摂取させるかなどの摂取方法や、食物アレルギーの発症頻度自体が少なかった乳、小麦、ゴマ、白身魚については更なる検討が必要であるが、鶏卵・ピーナッツに関しては早期摂取ができれば食物アレルギーの発症予防効果が期待できる(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 食物アレルギーは「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義される[1]
  1. アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」と定義する。アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合を、アナフィラキシーショックという(別項参照)。
 
食物アレルギーの定義

食物アレルギーの定義:食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象

出典

日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会編:食物アレルギー診療ガイドライン2021、協和企画、2021. P17, 図2-1
 
  1. 原因食物を摂取して2時間以内に症状が誘発される即時型、多くが即時型に移行する食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎型の2つが多い[2]。以降はこの2つの臨床型について解説する。
 
IgE依存性食物アレルギーの臨床型分類

a:定義:食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象
b:臨床型分類:小児の食物アレルギーは多くは食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎型として発症し、即時型に移行していく。
 
参考文献:食物アレルギー診療の手引き 2020

出典

食物アレルギーの診療の手引き2020
 
  1. わが国におけるIgE依存性食物アレルギー有症率は諸家の報告より、乳児が7.6-10%、2歳児が6.7%、3歳児が約5%、保育所児が4.0%、学童以降が1.3-4.5%とされている。全年齢を通して、わが国では推定1-2%程度の有症率であると考えられる[3]。男女比は2:1程度で男児が多い。
  1. 食物アレルギーの多くは自然寛解する。
問診・診察のポイント  
  1. 疑われる食物摂取後の症状と時間経過、アナフィラキシー歴の有無を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
柳田 紀之 : 特に申告事項無し[2024年]
海老澤 元宏 : 講演料(Viatris)[2024年]
監修:上阪等 : 特に申告事項無し[2024年]

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