今日の臨床サポート

下剤(薬理)

著者: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2021/07/21
参考ガイドライン:
  1. 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン2017、南江堂、2017

概要・推奨   

  1. 浸透圧下剤(推奨度1)
  1. 刺激性下剤(推奨度2
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中原 保裕 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 塩類下剤の表記を浸透圧下剤とした。
  1. 過敏性腸症候群治療薬、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬、胆汁酸トランスポーター阻害薬の記述を加えた。

病態・疫学・診察

イントロダクション  
まとめ:
  1. 便秘症の治療薬として、浸透圧下剤、大腸刺激性下剤、小腸刺激性下剤、膨張性下剤、Clチャネル賦活薬下剤、浸潤性下剤、自律神経系下剤、胆汁酸トランスポーター阻害薬などが用いられる。
  1. 便秘型過敏性腸症候群にはグアニル酸シクラーゼ受容体作動薬が用いられる。
  1. オピオイド誘発性便秘には抹消性μオピオイド受容体拮抗薬が用いられる。
  1. 薬剤は、便秘のタイプにより使い分けをする。
  1. 生活習慣指導と浸透圧下剤で治療するのが基本で、必要時に刺激性下剤を併用する。
 
便秘の治療のアルゴリズム

出典

img1:  宮道亮輔先生よりご提供
 
 
 
下剤の分類

膨張性:腸管の中で水分を吸収して膨張し腸内容物(便)のカサを増大して腸を刺激する。
湿潤性:腸管内の内容物(便)の表面張力を低下させ硬い便に水分を浸透させ便を増大させる。
塩類:腸の中の浸透圧を高めて腸内の水分を保持すると同時に組織から腸内へ水分を吸収させる。
小腸性:小腸を刺激して蠕動運動を活発にする。
大腸性:腸管に直接作用して蠕動運動を亢進させると同時に大腸での水分吸収を抑制する。
自律神経系:自律神経系に作用して腸の運動を活発にする。
クロライドチャネルアクチベーター:小腸粘膜上皮細胞にあるクロライドチャネルを活性化して細胞内にあるClが腸管内に移動される。それに伴ってNaも受動的に腸内に移動して結果的に水分が腸管内に分泌される。

出典

 
軽症の直腸性便秘:
  1. 浸透圧下剤・浸潤性下剤、膨張性下剤等の緩下剤は直腸性便秘の軽症に選択されることも多い。総じて効果は弱いが、使い続けても耐性は出来にくい。
  1. 浸透圧下剤 >詳細情報 
  1. 腸から吸収されない塩類が腸にたまると浸透圧が高くなり、その浸透圧を下げるために水分が組織から腸内に移動して腸内の水分量が増え、便のカサが増し便は水様となる。
  1. 下剤(塩類)に所属する薬剤として、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが知られている。
  1. 膨張性下剤: >詳細情報 
  1. 膨張性下剤は、腸管の中で水分を吸収して膨張し、便のカサを増大させることで大腸に刺激を与えて蠕動運動を促進させる。
  1. 下剤(膨張性)に所属する薬剤として、カルメロース(バルコーゼ)、ラクツロース(モニラック)、D-ソルビトールなどが知られている。
  1. 浸潤性下剤: >詳細情報 
  1. 浸潤性下剤は、界面活性剤で、腸から吸収されず便の表面張力を低下させる。そのことで硬い便に水分を浸透させることができ、便のカサは増大する。
  1. 下剤(浸潤性)に所属する薬剤として、カサンスラノール・ジオクチルソジウムスルホサクシネート配合薬(ビーマス)などが知られている。
  1. Clチャネル賦活性下剤: >詳細情報 
  1. Clチャネル賦活薬は、小腸粘膜上皮細胞にあるClチャネルを活性化することで粘膜上皮細胞内にあったC1イオンが腸内に移動しそれに伴って受動的にNaや水分が腸内に移動して腸内の水分量を増やす。
  1. 下剤(Clチャネル賦活薬)に所属する薬剤として、ルビプロストン(アミティーザ)が知られている。
 
中等度以上の直腸性便秘の他、弛緩性便秘:
  1. 刺激性下剤は、中等度以上の直腸性便秘の他、弛緩性便秘にも用いられる。
  1. 大腸刺激性下剤: >詳細情報 
  1. 大腸刺激性下剤は、アウエルバッハ神経叢を刺激し、大腸の蠕動運動を促進させる。
  1. 下剤(大腸刺激性)に所属する薬剤として、センナエキス(アジャストA)、センノシドA・B(プルゼニド、アローゼン)、ピコスルファート(ラキソベロン)などが知られている。
  1. 小腸刺激性下剤: >詳細情報 
  1. 小腸刺激性下剤は、十二指腸のリパーゼによりリシノールとグリセリンに分解され、前者は小腸を刺激し後者は粘滑作用があるので便を排泄しやすくさせる。
  1. 下剤(小腸刺激性)に所属する薬剤として、ヒマシ油などが知られている。
 
痙攣性便秘:
  1. 自律神経系下剤は、けいれん性便秘に用いられる。
  1. 自律神経系下剤: >詳細情報 
  1. 自律神経系下剤は、腸の運動を支配する自律神経系に作用をして腸の運動を活発化させる薬剤である。
  1. 下剤(自律神経系)に所属する薬剤として、パンテチン(パントシン)、ネオスチグミン(ワゴスチグミン)などが知られている。
 
漢方薬下剤:
  1. 作用機序は不明だが、漢方薬が用いられることもある。
  1. 下剤(漢方薬): >詳細情報 
  1. 西洋学的な作用機序はわかっていないが証に合わせて選択することで、臨床的には今までの西洋薬で効果が不十分だった人に効果を期待することができる。
  1. 大建中湯の証は、「腹部が冷え・膨満感・軟便性便秘。胃に寒邪が侵入した場合」である。
 
下剤(経口腸管洗浄剤): >詳細情報 
  1. 腸内にある水分を吸収させて便を軟化しカサを増大させその刺激で腸の蠕動運動を活発にさせる検査用の塩類下剤である。
  1. 経口腸管洗浄剤に所属する薬剤として、塩化カリウム・塩化ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・硫酸ナトリウム配合薬(ニフレック)、リン酸二水素ナトリウム・リン酸水素二ナトリウム配合薬(ビジクリア)、L-アスコルビン酸・アスコルビン酸・マクロゴール4000・塩化カリウム・塩化ナトリウム・硫酸ナトリウム配合(モビプレップ)などが知られている。

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