今日の臨床サポート

抗甲状腺ホルモン薬(薬理)

著者: 手塚優 岩手医科大学薬学部病態薬理学講座

監修: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2022/11/24
参考ガイドライン:
  1. 日本甲状腺学会:甲状腺疾患診断ガイドライン2021 
  1. 日本甲状腺学会:バセドウ病治療ガイドライン2019
  1. 日本甲状腺学会日本内分泌学会:甲状腺クリーゼ診断ガイドライン2017
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 甲状腺の疾患には、甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症があり、そのそれぞれに対して治療薬がある。甲状腺機能亢進症には、主に抗甲状腺薬が用いられる。また、甲状腺機能低下時には、甲状腺ホルモン製剤により、甲状腺ホルモンの補充がされる。
  1. 抗甲状腺ホルモン薬に属する薬剤として、チアマゾール(メルカゾール)、プロピルチオウラシル(プロパジール、チウラジール)などが知られている。
  1. 甲状腺ホルモン製剤に属する薬剤として、T3製剤であるリオチロニン(チロナミン)、T4製剤であるレボチロキシン(チラーヂンS、レボチロキシンNa)がある。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
手塚優 : 特に申告事項無し[2022年]
監修:中原 保裕 : 原稿料(学研メディカル秀潤社)[2022年]

改訂のポイント:
  1. 更新された診断・診療ガイドラインに沿った形に一部改訂した。

総論

総論  
  1. 甲状腺の疾患には、甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症があり、そのそれぞれに対して治療薬がある。甲状腺機能亢進症には、主に抗甲状腺薬(チアマゾール[メルカゾール]、プロピルチオウラシル[プロパジール、チウラジール])が用いられる。また、甲状腺機能低下時には、甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシン[チラーヂンS、レボチロキシンNa]、リオチロニン[チロナミン])により、甲状腺ホルモンの補充がされる。
 
 
抗甲状腺ホルモン薬:
  1. 抗甲状腺ホルモン薬に属する薬剤として、チアマゾール(メルカゾール)、プロピルチオウラシル(プロパジール、チウラジール)などが知られている。
  1. バセドウ病の場合、第1選択薬はチアマゾールである。妊娠最初期の女性および妊娠第一期の妊婦に対してのみプロピルチオウラシルを用いる。
  1. 甲状腺機能が正常になるまでは運動は制限する。喫煙はバセドウ病眼症を悪化させるので禁煙を勧める。
  1. 抗甲状腺薬で2~3年加療しても寛解に入らない場合、治療中に甲状腺腫が大きくなった場合は、131I内用療法(RI治療)や手術への変更を考慮する。
  1. 無痛性甲状腺炎では、動悸が強い場合はβ遮断薬を用いるが、それ以外では原則、経過観察になる。
  1. 抗甲状腺ホルモン薬: >詳細情報 
 
甲状腺ホルモン製剤:
  1. 甲状腺ホルモン製剤に属する薬剤として、T3製剤であるリオチロニン(チロナミン)、T4製剤であるレボチロキシン(チラーヂンS、レボチロキシンNa)がある。
  1. 甲状腺機能低下症治療の目的は、臨床症状の改善、甲状腺腫のサイズのコントロール、代謝機能の改善である。治療の基本は、甲状腺ホルモンを補充することである。
  1. 臨床症状を認める場合には治療の適応である。また、臨床症状のない、無症状甲状腺機能低下症(subclinical hypothyroisidm)でも高齢者の心血管疾患のリスクや心不全リスクの上昇などと共に死亡率の上昇に寄与することが明らかとなったことから、TPO抗体陽性か、TSH>10μU/mLの患者であれば加療を行う。治療は通常、L-T4(レボチロキシンナトリウム)製剤(レボチロキシン[チラーヂンS、レボチロキシンNa])をごく少量から緩徐に漸増する。
  1. FT4が上昇し、正常化に数カ月遅れてTSHも低下し、正常化してくる。全摘者や機能完全廃絶者での最終補充量は75~200µg/日であることが多い。
  1. 甲状腺ホルモン製剤 >詳細情報 
 
甲状腺クリーゼ:
  1. 甲状腺中毒症の背景に加えて、①中枢神経症状、②発熱(38℃以上)、③頻脈(130回/分以上)、④心不全症状、⑤消化器症状――の5つの症状のうち、中枢神経症状+他の症状項目1つ以上、または中枢神経症状以外の症状項目3つ以上――を有する場合は甲状腺クリーゼの診断となる。
  1. まず、全例にステロイドを投与する。
  1. 原因疾患がバセドウ病であれば、抗甲状腺薬の大量投与に引き続いて(抗甲状腺薬投与後1時間以上空けて)無機ヨードを投与する。
  1. 頻脈に対してはβ1選択制を有するβ遮断薬などで心拍数をコントロールし、中枢神経症状(せん妄、けいれんなど)があるときは、鎮静薬や抗けいれん薬を使用する。
  1. ヨウ素 >詳細情報 

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