今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 小島康幸1) 昭和大学 臨床ゲノム研究所 / 昭和大学病院 がんゲノム医療センター 乳腺外科

著者: 津川浩一郎2) 聖マリアンナ医科大学 乳腺・内分泌外科

監修: 中村清吾 昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門

著者校正/監修レビュー済:2022/10/26
参考ガイドライン:
  1. 日本乳腺甲状腺超音波医学会: 乳房超音波診断ガイドライン 第4版
  1. (公社)日本医学放射線学会(公社)日本放射線技術学会編:マンモグラフィガイドライン 第4版 
  1. 日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン 2022年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 乳癌診療ガイドライン2022年版に基づき、レビューを行った。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 線維腺腫は日常診療でしばしば遭遇する乳房腫瘤である。好発年齢は15~35歳といわれ、30歳以下で発見されることが多く、妊娠やエストロゲン補充療法で大きさの増大を認めることがあるが、閉経後は自然退縮するのが一般的である。
  1. 20~30歳代で発見される典型的な乳腺腫瘤の代表として線維腺腫が挙げられる。一方、臨床では閉経年齢以上の方にでも線維腺腫を考える乳房腫瘤を認めることがある。閉経後に線維腺腫が増大することはまれであり、より積極的に癌との鑑別を行う必要がある。
  1. 線維腺腫が癌のrisk factorとする記載もあるが、線維腺腫が癌化する事はきわめてまれで、たまたま線維腺腫に癌が併存したと考えられる。Noguchiらは線維腺腫のclone解析の結果、乳管上皮と間質細胞の過形成によって発生すると説明している[1]
  1. 多くは孤発性で1~2cmの腫瘤として認められ、3cm程度で増大が止まることが多い。10cm以上の巨大線維腺腫が若年に認められることがあり、若年性線維腺腫ともいわれ、頻度は線維腺腫の0.5~2%と報告されている[2][3]
問診・診察のポイント  
  1. 腫瘤の発見時期、大きさとその変化、疼痛の有無、外傷の有無、ホルモン補充療法を受けていないか、月経周期と腫瘤の大きさの変化に関連がないかを確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
小島康幸 : 特に申告事項無し[2024年]
津川浩一郎 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:中村清吾 : 特に申告事項無し[2024年]

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