今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 徳永日呂伸 敦賀市立看護大学、市立敦賀病院 救急科、長良整形外科クリニック

監修: 志賀隆 国際医療福祉大学 医学部救急医学/国際医療福祉大学成田病院 救急科

著者校正/監修レビュー済:2024/05/01
参考ガイドライン:
  1. 日本外傷学会:外傷初期診療ガイドライン JATEC 改訂第6版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、症例(難渋例)を追記した。
 

概要・推奨   

  1. 破傷風トキソイド接種から5ないし10年以上経過していれば、追加接種を考慮する(推奨度2)
  1. 創洗浄に過酸化水素水やイソジンを使用するのは、薄めたとしても創処置には不適切である。クロルヘキシジンを薄めて使用するのはよい。生理食塩水または水道水で洗浄するほうがよい。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 「創傷」という単語があるが、正式には皮膚表層が破損しているものを創(例:縫合が必要な挫創)、皮膚表層は保たれているが内部に何らかの外傷性変化を来したものを傷(例:皮下血腫のみの挫傷)と呼ぶ。ただし、動物に咬まれた創傷は深さを問わず動物咬傷というなどの例外的な慣習もある。
  1. ここでは、切創・裂創・割創といった縫合処置を必要とする創の診療を中心に、擦過創および刺創の診療についても少し触れる。
  1. 受傷から受診までの経過時間、受傷部位、創部の形態、患者背景を含めた多くの要素をすべて考慮したうえで、適切な創処置を行う。
  1. 適切な「洗浄液(水道水を含む)」を選択する。
  1. 破傷風トキソイド接種から5年以上経過しているかどうかや、受傷・創汚染の状態に応じて抗菌薬の予防投与、破傷風トキソイドや破傷風免疫グロブリン接種を考慮する。
  1. 異物の残存、腱や神経の損傷を見逃さない。
 
破傷風トキソイド・破傷風免疫グロブリン製剤の投与基準

注:1967年以前出生の患者(2021年で53歳が目安)では、抗体が陰性または低値陽性のことが多く、より積極的にTIGの接種を検討すべきという意見もある(参考文献:[5][17])。

問診・診察のポイント  
  1. 「いつ受傷したのか」を必ず確認する。長時間経過すればするほど感染のリスクが増大する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
徳永日呂伸 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:志賀隆 : 未申告[2024年]

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