今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中村純 産業医科大学 名誉教授

監修: 上島国利 昭和大学

著者校正/監修レビュー済:2024/10/16
参考ガイドライン:
  1. Clinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit. Delirium:prevention, diagnosis and management. Clinical guideline [CG103](2010)
  1. Delirium:Evidence Update April 2012:A summary of selected new evidence relevant to NICE clinical guideline 103 ‘Delirium: diagnosis, prevention and management’(2010)
  1. 日本総合病院精神医学会せん妄指針改訂班編:せん妄の臨床指針〔せん妄の治療指針 第2版〕(2015)
  1. 日本集中治療学会J-PADガイドライン作成委員会:日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン(2014)
  1. 日本サイコオンコロジー学会・日本がんサポーティブケア学会編集:がん患者におけるせん妄ガイドライン 2019年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. せん妄の治療は、薬物療法の前に不安の軽減などの心理的な介入のほか、環境調整(積極的な離床、運動療法)などを発症予防のために行うことが重要である。
  1. ハロペリドールとクロルプロマジンとではせん妄に対する効果に差はない(推奨度2)
  1. リスペリドンは、せん妄に対して平均1.7 mgで数日以内にせん妄に効果を示す(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. せん妄は、錯覚・幻覚(幻視・幻聴)などの異常体験、精神運動興奮・不安などが加わった特殊な意識障害である。
  1. せん妄の有病率は、入院患者の10~30%、高齢者では10~40%に起こる。入院している癌患者では25%、入院しているエイズ患者では30~40%、術後患者の51%、末期患者の約80%に臨死期に発症するとされている[1][2][3]
  1. 身体疾患を有する男性の高齢者に多く発症するため、基礎となる身体疾患の回復を遅らせたり、その治療に支障を来すことがある。
  1. 認知症に重畳したせん妄、夜間せん妄、術後せん妄、ICU症候群、CCU症候群、アルコール依存症離脱時に発症する振せんせん妄などさまざまな名前が付けられているが、病態の本質は同一と考えられ、睡眠・覚醒リズムの障害が背景にあると考えられる。
  1. したがって、治療及び発症の予防には原疾患の治療および環境調整、身体的、心理的な介入などの非薬物療法に加えて、薬物よる睡眠・覚醒リズムを整えることを目標にする。
  1. 予防を目的とした薬物療法には、アルコール依存症ではベンゾジアゼピン系抗不安薬ジアゼパムを用いるが、睡眠薬としてはオレキシン受容体拮抗薬が用いられてくると考えられる。
 
  1. せん妄の原因疾患
  1. 特定の精神疾患、身体疾患がその原因となるわけではなく、その本質と考えられる睡眠・覚醒リズムを乱すあらゆる状態がせん妄の原因になり得る。したがって、治療を有するような疾患でなくても、痒みや痛みなど睡眠を阻害するような要因があるだけでせん妄が発症することもある。しかし、認知症など脳に器質性の変化があるものでは、せん妄が発症しやすい。
 
せん妄発症の原因

せん妄の発症因子は、直接因子、誘発因子、準備因子に分けられる。

出典

一瀬邦弘,田中邦明,長田憲一ら. 老年精神医学雑誌,3(11):1201-1200,1992
 
  1. 神経画像研究
  1. 神経画像研究では、大脳皮質萎縮や脳室が拡大している人にせん妄が多く発症しやすいという報告がある[4]
 
  1. 疫学的情報1(推奨度1)[5][6][7][8]
  1. あらゆる身体疾患、高齢者、男性、術後などでせん妄は多く発症する。
  1. 術後、ICU、CCUなどの環境要因、脳器質性疾患の存在、高齢者などが誘因になる。
 
  1. 疫学的情報2:整形外科領域でのせん妄患者を対象にした研究(推奨度2)[9]
  1. せん妄を伴う患者の中で特に整形外科的手術後、せん妄患者は術後合併症、術後回復の長期化、すなわち入院の長期化、機能障害の長期化の危険性が高い。
 
  1. 疫学的情報3:せん妄は高齢者、入院患者、合併症がある人などで発症する(推奨度2)[10][11][12]
  1. せん妄が発症すると入院は長期化し、認知機能だけでなく身体的な機能障害も長期化、悪化する人が多い。
  1. 追記:入院患者にせん妄が発症すると入院が長期化し、退院後の予後も悪い。退院後、6カ月後以内に死亡するせん妄既往患者は約25%に達し、診断後3カ月以内の死亡率は感情障害患者の約14倍あることを示す報告もある。
 
  1. 疫学的情報4:認知機能の低下はせん妄の遷延化と関係している。
  1. 集中治療室で呼吸不全またはショック状態の成人821人を対象に認知障害を検討した[13]。入院中の患者74%にせん妄が発症していた。せん妄の遷延化は、3カ月と12カ月時の全般的な認知機能スコアの悪化および実行機能スコアの悪化と独立して関連していた。
 
診断、治療のガイドライン:
  1. せん妄の診断、治療のガイドラインを以下に示す。
  1. 米国のガイドライン:
  1. Clinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit.[14]
  1. 英国のガイドライン:
  1. Delirium:Diagnosis, prevention and management, 2010[15]
  1. Delirium:Evidence Update April 2012[16]
  1. 日本のガイドライン:
  1. せん妄の治療指針 第2版(2015)[17]
  1. 日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン(2014)[18]
  1. がん患者におけるせん妄ガイドライン 2019年版[19]:わが国のがん患者のstageに応じた対応ガイドラインである。
  1. 米国クリティカルケア医学会(American College of Critical Care Medicine)による疼痛、不穏、せん妄の管理のための臨床実践ガイドラインは、ICUでの疼痛、不穏の管理を含むガイドラインで、せん妄に特化したものではないが、米国の複数の医学団体が合同で作成したものである。
  1. 米国のICUのガイドラインで高く評価されたせん妄ケア
  1. 1. せん妄のモニタリング
  1. 2. 早期に動かすこと(早期離床、リハビリテーションなど)
  1. 3. 鎮静薬の定期使用の場合、日中は投与中断するか軽度鎮静管理
  1. 4. 多職種チームアプローチ(教育研修、プロトコル、チェックのためのラウンドなど)
  1. 英国のガイドラインの特徴
  1. リスクファクターの評価:
  1. ①65歳以上、②認知症や過去のエピソードを含めた認知機能の低下(認知機能評価スケールを用いること)、 ③大腿骨骨折、④重篤な基礎疾患の有無、の4つを挙げている。
  1. 早期徴候の把握:
  1. ①数時間・数日間の行動の変化や動揺を見逃さないこと、②集中困難・反応遷延・混乱といった症状で現れる低活動型せん妄を見逃さないこと、③必要な処置への非協力などもせん妄の予兆の可能性があること、などを強調。
  1. 予防:
  1. よく訓練された多職種が提供するケアパッケージにより、入眠24時間以内にせん妄危険因子をもつハイリスク者を同定し、アセスメントに基づき、危険因子を是正し、認知機能低下、感覚遮断、不動化、不眠、多剤処方、低栄養、疼痛を標的とした非薬物療法を提供することを推奨している。
問診・診察のポイント  
  1. 手術後、ICUやCCU搬入後、あるいはアルコール依存症者が断酒したのち、または認知症患者が急に落ち着かなくなり、会話がまとまらず、幻視などの異常体験を訴え興奮するなど精神病状態が急に発症したときにせん妄を疑う。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中村純 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:上島国利 : 特に申告事項無し[2024年]

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